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高森明勅
2021.3.5 06:00皇室

左上位から右上位へ

ひな祭りの男雛・女雛の並び方に関わって、
天皇・皇后が左右どちらにいらっしゃるか。

先に、明治神宮外苑の聖徳記念絵画館の壁画を手掛かりにして、
明治23年(1890年)の歌御会始(うたごかいはじめ)を描いた絵では、
既に天皇が(天皇ご自身の側から向かって)“右側”に座っておられた
ことに言及した。

ところが、次のような指摘があるので追加しておく。

「明治7年、新年の儀式が宮中で行われた際の写真が発刊されたばかりの
新聞に載ったが、明治天皇は西洋式を採用され、向かって左
(天皇ご自身の側から向かって右)に座っておられる。
西洋式は右優先だからである」(永田久氏)と。

これが事実なら、もうその頃は、当時の国際儀礼に配慮して、
“右上位”に転換していたことになる。
古代シナ式から近代ヨーロッパ式へ(但しシナの場合、時代によって
左右どちらが上位になるか、しばしば変更があった)。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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