世界各国における男女格差を測る国際的な指数として、
メディアでよく取り上げられるのが、世界経済フォーラムの
「ジェンダー・ギャップ(男女格差)指数」(GGGI)。経済、教育、保健、政治の4分野のデータから作成される。
これによると2020年のレポートでは、日本は世界153ヵ国中、
何と121位(!)。
勿論(もちろん)、先進国でぶっちぎりの最下位だ。この話題は、色々と取り沙汰されたので、
どこかで見掛けた人も少なくないだろう。
一方、これに並ぶ目安として、国連開発計画(UNDP)の
「ジェンダー不平等指数」(Gll)がある。
同指数は保健分野、エンパワーメント(能力開化)、
労働市場の3つの側面から構成され、男女の不平等による
人間開発の可能性の損失を示す。
こちらは、意外と知らない人が多いのではないか。
2019年統計更新では、日本は世界162ヵ国中で23位(!!)。ジェンダー・ギャップ指数での順位と、“ギャップ”が激しい。
対象国がより多いのに、100位近くも上位に位置付けられている。
これは、わが国で妊産婦死亡率や若年出産率が低く、
中等教育以上の修学率も高く、その男女差が小さい事実が、
順位を押し上げているとされる。いずれにせよ、これらの指数の扱いについては、
以下のような指摘を頭に入れておく必要がある。「ジェンダーに関する総合指数は、各国をランキングすることもあって、
アピール力がありメディア受けするが、GllにしてもGGGIにしても、
どれほど改良しようとも、複雑で多方面に見られるジェンダー不平等を
すべて反映することはできず、限定的な情報しか提供できないのである。
利用者である我々は、そもそも統計データを鵜呑みにしないで、
現実のジェンダー問題と照らし合わせて判断する必要がある。
そして、GllやGGGIのがような総合指数を利用するときは、
それを過大に評価せずに相対化する姿勢を身につけ、
またその国際的な順位を一人歩きさせないように心掛ける必要があるだろう」
(杉橋やよい氏)どちらかの指数に飛び付きたくなる気持ちも分かるが、
くれぐれも要注意。【高森明勅公式サイト】
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