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高森明勅
2021.1.31 06:00その他ニュース

ジェンダー・ギャップ指数

世界各国における男女格差を測る国際的な指数として、
メディアでよく取り上げられるのが、世界経済フォーラムの
「ジェンダー・ギャップ(男女格差)指数」(GGGI)。

経済、教育、保健、政治の4分野のデータから作成される。
これによると2020年のレポートでは、日本は世界153ヵ国中、
何と121位(!)。
勿論(もちろん)、先進国でぶっちぎりの最下位だ。

この話題は、色々と取り沙汰されたので、
どこかで見掛けた人も少なくないだろう。
一方、これに並ぶ目安として、国連開発計画(UNDP)の
「ジェンダー不平等指数」(Gll)がある。
同指数は保健分野、エンパワーメント(能力開化)、
労働市場の3つの側面から構成され、男女の不平等による
人間開発の可能性の損失を示す。
こちらは、意外と知らない人が多いのではないか。
2019年統計更新では、日本は世界162ヵ国中で23位(!!)。

ジェンダー・ギャップ指数での順位と、“ギャップ”が激しい。
対象国がより多いのに、100位近くも上位に位置付けられている。
これは、わが国で妊産婦死亡率や若年出産率が低く、
中等教育以上の修学率も高く、その男女差が小さい事実が、
順位を押し上げているとされる。

いずれにせよ、これらの指数の扱いについては、
以下のような指摘を頭に入れておく必要がある。

「ジェンダーに関する総合指数は、各国をランキングすることもあって、
アピール力がありメディア受けするが、GllにしてもGGGIにしても、
どれほど改良しようとも、複雑で多方面に見られるジェンダー不平等を
すべて反映することはできず、限定的な情報しか提供できないのである。
利用者である我々は、そもそも統計データを鵜呑みにしないで、
現実のジェンダー問題と照らし合わせて判断する必要がある。
そして、GllやGGGIのがような総合指数を利用するときは、
それを過大に評価せずに相対化する姿勢を身につけ、
またその国際的な順位を一人歩きさせないように心掛ける必要があるだろう」
(杉橋やよい氏)

どちらかの指数に飛び付きたくなる気持ちも分かるが、
くれぐれも要注意。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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