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徒然草気まま読み#116
「琵琶の名器を壊した話」
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今回扱うのは、第七十段。
短いので、全文をご紹介。
玄應の清暑堂の御遊に、玄上は失せにしころ、菊亭の大臣、牧馬を彈じ給ひけるに、座につきてまづ柱(ぢゅう)を探(さぐ)られたりければ、ひとつ落ちにけり。御懐(ふところ)に續飯(そくひ)をもち給ひたるにて付けられにければ、神供(じんぐ)の參るほどに よく干て、事故(ことゆえ)なかりけり。
いかなる意趣かありけん、物見ける衣被(きぬかづき)の、寄りて放ちて、もとのやうに置きたりけるとぞ。
後醍醐天皇の大嘗祭の後の余興の催しで
演奏される琵琶の名器が、壊されていた。
何の意図があったのか、ことによると、
後醍醐天皇に対して何か思うところが
あったのかとも考えられるが、
ここではそれについては深く考察しない。
それよりも注目すべきは、
琵琶を壊した者がどうやって侵入したのかだが、
そのセキュリティ感覚の甘さというか、
大らかさというかに驚かされる。