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高森明勅
2021.1.22 06:00その他ニュース

神話の「女性」像

古代日本人の「女性」観を、端的に反映していると思われる物語の1つ。
それが、古事記の大国主神(おおくにぬしのかみ)を巡る神話に出てくる、
八上比売(やかみひめ)の物語だ。大国主神には多くの兄弟神達がいた。

彼らは、美人と評判の高い稲羽(いなば)の八上比売に求婚する為に、
出雲から遠路遙々(はるばる)、彼女の元を訪れる。
ところが、比売はピシャリと彼らの求めを撥(は)ね付けた。
ばかりか、自分の結婚相手まで、自ら名指ししたのだった。

「あは、いましたちの言(こと)は聞かじ。大穴牟遅神
(おおあなむじのかみ=大国主神)に嫁(あ)はむ」
(私は、あなた方の言うことは聞きません。大国主神と
結婚しようと思います)と。

ここには、「結婚」における女性の“主体性”が明確に描かれている。
勿論(もちろん)、神話は歴史上の事実ではない。
しかし、そこには、古代の日本人の(恐らく自覚されざる)
価値観・世界観が映し出されていると考えられる。
ならば、この物語は日本人の“固有”の女性観を探る、
1つの手がかりにはなるはずだ。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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