コロナの感染症指定について、
「第2類相当をダウングレードし、
インフルエンザ・風邪コロナウイルスと同様に扱うのが妥当」
と述べている慈恵医大の大木隆生医師(外科統括責任者・
対コロナ院長特別補佐)が、一昨日SNSにアップした文章を
読んで驚いた。
東京都が確保目標としている新型コロナ用ICUは250床だが、
これは東京都にある全ICU/HCUのベッド数2,045に対して、
わずか12%。
そして、全国には17,377床のICUベッドがあるが、
新型コロナに使用されているのはわずか4.2%(730/17377)。
新型コロナ患者の受け入れ実績のある病院は、全病院の18%。
さらに引用すると、
「東京都には2021年1月3日時点で87名の重症新型コロナ患者が
ICUで治療されているが(東京都全ICU/HCUベッド2,045の内4.2%)、
半数以上の48名が私立医科大学病院で加療されている。
東京医科歯科大学は6名。一方、公的病院を見ると、
国⽴国際医療研究センター病院(2名)、自衛隊病院(2名)、
国⽴病院機構東京医療センター(0名)、東京都⽴駒込病院(0名)、
東京都⽴墨東病院(6名)、東京都⽴松沢病院(1名)、
東京都⽴広尾病院(1名)、東京都⽴⼤塚病院(0名)と少なく、
公的病院が十分に活用されていない事が分かる」
春の緊急事態宣言後、この冬に向けて、公立病院の活用さえ、
まともに準備されていなかったことに閉口してしまった。
また、大木医師によると、
「現在、メディアで盛んに医療崩壊が叫ばれているが、
新型コロナ重症者が一部の病院に集中し、その病院の声ばかりが
報道されているためのバイアスがかかっている。
例えば新型コロナ重点病院に指定されている慈恵医大で確保して
きた新型コロナ用ICUは8床あるが過去6か月でほとんど使用され
ることはなく、今日現在も1名のみである。
新型コロナ重症患者の適正配分が大事である。」
「慈恵医大には新型コロナ軽症・中等症用に25床用意しているが
これらは新型コロナICUと違い、第3波以降満床が続いている。
一方で慈恵医大本院1,001床のベッド利用率は70%前後であるので
常に数百床のベッドが空いている。
しかし、指定感染症であるためこれら空床は新型コロナ患者には
全く活用できない」
ちなみに慈恵医大では、現状、呼吸器内科医、感染症内科医、
総合診療医、救急医が持ちこたえていて、
さらにその布陣で厳しくなった場合は、日頃からICUで手術後の
重症患者を人工呼吸器管理することに慣れており、
戦力になる外科医300人が控えている、とのこと。
こういう事実はまったく報道せずに、テレビには「医療崩壊」を
語る医師、カメラの前で泣き出す医師ばかりが登場するのだから
どこまでも果てしなく異常だ。