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高森明勅
2021.1.2 06:00日々の出来事

皇居へ

令和3年元日。
娘と皇居へ。
皇室に対し、個人的に新年のお祝いの気持ちを捧げる為に。

空は一点の雲も無く晴れ渡り、空気も澄み切った爽やかさ。
自分達の心まで清らかになる気がする。
娘が驚きの声を挙げる。

「お正月なのに皇居にこんなに人がいないなんて」。

例年の新年一般参賀の光景が頭にあったからだろう。
皇居前広場の片隅にて深々と拝礼。
新年一般参賀は現在、2日に実施されている。
しかし、同参賀が開始された昭和23年は1・2両日に行われていた
(当初の名称は国民参賀)。

翌年から暫(しばら)くは元日。
2日になったのは、サンフランシスコ講和条約発効後の同28年から
(名称も「一般参賀」に)。
しかも、今年は公式の参賀は見合せられているのだから、“2日”に拘(こだわ)る
理由は特に無い。
1日なら、宮殿では「新年祝賀の儀」(天皇の国事行為の“儀式”の中で、
唯一の恒例行事)などが行われる(但し今年は規模を縮小)。

長男は、お嫁さん(わが2人目の娘!)と昨年生まれた長女(私にとって初孫!)と、
初めて「3人」で迎えるお正月だ。
大いに楽しんで欲しい。

次男は昨年、仕事が変わって張り合いが出た一方、様々な負担も多そうで、
睡眠不足がちだった。
短い正月休み位、のんびりして、英気を養って貰いたい。

娘は、嫁ぎ先のシンガポールからたまたま日本に帰って来たタイミングで、
新型コロナウイルスの感染拡大。
周知の通り、同国は極めて厳しい措置を取っている。
そのせいで、今も旦那(わが3人目の息子!)の元に戻れない状態が続いている。
そのシンガポールにいる旦那の為に、LINEの動画送信機能を利用して、
皇居前広場から私も日本語と英語で、新年のお祝いを伝えた。
すると、早速、本人からボイスメッセージが返って来る。
随分、便利な世の中になったものだ。
平素は「便利は敵だ!」などと頑(かたく)なな所を見せているものの、
こういう時には、娘の手助けを得て、普通に活用している。

皇居から靖国神社に移動。
結構、参拝者が多い。
皆さん、拝殿前までディスタンスに配慮しながら、綺麗に並んでいる。
我々は例によって少し離れた場所から、心を込めて拝礼させて戴いた。
娘の旦那と、娘との結婚前に初めて会ったのは、1月2日だった。
この時、東京駅で合流して、一般参賀から靖国神社参拝へという、
我が家の毎年恒例のコースを、一緒に辿(たど)った。娘と参拝していて、
ふと、その時のことを思い出した。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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