12月25日は大正天皇例祭。
大正15年の同日、大正天皇が崩御(ほうぎょ)された。
なので毎年、宮中三殿の皇霊殿にて、同祭が執り行われる。
小祭だから、普通なら天皇と皇太子(今は皇嗣)だけのご奉仕。しかし、「例祭」の場合、他の皇族方もお加わりになる。
ご先祖への丁重な追慕のお気持ちからだろう。
東京・八王子市の武蔵陵墓地(むさしりようぼち)にある大正天皇の御陵(ごりょう)、
多摩陵(たまのみささぎ)でも祭典が行われる。大正天皇の御製(ぎょせい)は繊細で格調の高いものが多い。
その方面の才能においては
「近代の3人の天皇の中で、随一の力を持っていられた」(岡野弘彦氏)とされる。
ここでは、これまでに知られている最後の御作、大正10年の「社頭暁」と題された
一首を、謹んで掲げさせて戴く(同年11月25日に摂政が立てられた)。神まつる
わが白妙(しろたえ)の
袖(そで)の上(へ)に
かつうす(薄)れゆく
みあかし(御灯)のかげ(影)皇室の恒例祭祀の中でも特に大切な、
新嘗祭(にいなめさい)でのご感慨を詠(よ)まれていた。
この御製については、歌人の水原紫苑(しおん)氏が
以下のように述べておられる。「神をまつる天皇の白い衣の袖の上に、
暗いうちはあかあかと輝いていた灯明の光が、
暁(あかつき)になって薄れてゆくという、
痛いほど鋭利な感覚である。
実に微細なうつろいさえ、神に向かう魂に刻まないではいられない
作者なのである。
その傷つきやすい心は詩歌人にとっての恩寵(おんちょう)にちがいない。
この不幸な帝王は、あるいは神に愛された人であったかも知れないのだ」―【高森明勅公式サイト】
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