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高森明勅
2020.12.19 06:00皇統問題

「女系」が分からない?

世論調査で、「女系」という概念が理解できているか質問すると、
半数ほどが理解できていなかった、という結果がある
(NHK、令和元年9月28日から2日間実施、1539人から回答。
女系の意味を知っているか?「知らない」52%)。

だから、世論調査で「女系天皇」を支持する国民が多くても、
分からずに支持しているのだから意味が無い、という意見も耳にする。

しかし、女系が分からずに、「男系」という概念だけ、
きちんと理解できるとは考えにくい。
女系が分からない人は、同じように男系についても分かっていない、
と見るべきだろう。

分かっていなくても、そのことに関わりなく、「男系天皇」に
敬愛の念を抱いている。
それを無意味だと言う意見は、これまで聞いていない。
アンバランスではないか(しかも、女系の概念は、
法律用語として狭義と広義があり、
広義の用法は、
文化人類学では女系でなく「非単系」とされている他、

別に男系・女系の判別を巡る複雑な問題もあって、その辺りをキチンと
整理できている人は、ほとんどいないだろう)。

要は、現代の日本人の多くは、男系と女系を決定的に差別する旧式の
(しかも元々、シナの男尊女卑、男系主義によるバイアスを強く
被〔こうむ〕った)感覚に、もはや拘(こだわ)って“いない”、
ということ。

そんな感覚とは無縁に、天皇の血筋(皇統)に繋(つな)がる
「世襲」継承であれば、当たり前のように受け入れているのだ
(前出の世論調査では、「女系天皇を認める」に賛成が71%、反対が13%)。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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