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徒然草気まま読み#108
「慈悲の心」
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今回扱うのは、第百二十八段。
冒頭を一部紹介すると…
雅房大納言は、才賢く、善き人にて、大將にもなさばやと思しける頃、院の近習なる人、「只今、淺ましき事を見侍りつ」と申されければ、「何事ぞ」と問はせ給ひけるに、「雅房卿、鷹に飼はんとて、生きたる犬の足を切り侍りつるを、中垣の穴より見侍りつ」と申されけるに、うとましく、にくくおぼしめして、日ごろの御氣色も違(たが)ひ、昇進もしたまはざりけり。
動物に対しても、どんな小さなもの、
弱き者、愚かな者にも、
小さきもの、弱き者、愚かな者だからこそ
情けをかけなければならない。
元・武士であったことの片鱗を
うかがわせる場面も時々見せる兼好だが、
ここではまさに法師らしい慈悲の心を語る。
そして、このような境地に至ったからこそ
武士を捨てたのではないかとも思わせる一段。