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高森明勅
2020.9.16 06:00皇統問題

「旧宮家」を巡る菅答弁の“重み”

9月14日、自民党の新総裁は、事前の予想通り
菅義偉内閣官房長官に決まった。

この瞬間、次の首相への就任も事実上、併せて決定したことになる。
これで、今年の2月10日の同氏の国会答弁は、より“重み”のある
ものになった。

同日、衆院予算委員会において山尾志桜里議員が質問に立たれた。
皇位の安定継承を巡り、政府はこれまで、旧宮家系国民男性に
果たして皇籍取得の意思があるのかどうか、当事者の意向を
確認して来なかったという。

ならば、“今後”は当事者の意向確認を行うのか、どうか。
そこを質問された。
対象となる旧宮家系男性は皆さん、国民だ。
だから「強制」は論外。本人の意向を確かめなければ何も始まらない。
しかし、この時、菅官房長官は「今後もそのようなことは考えていない」旨、
明確に答弁された。
これは極めて重大な答弁だった。

それが虚偽でない限り、政府は“旧宮家案”を採用しない方針であることを
明らかにしたに等しいからだ。
この質問は、山尾議員と私との打ち合わせで、私から提案申し上げたもの。
でも私自身としては、余りハッキリとした答えは引き出せないのではないか、
と考えていた。

「慎重、適切に判断したい」とか、「予断無く、丁寧に検討する」などという、
内容空疎な答弁でお茶を濁されてしまう可能性が高い、と踏んでいた。
政府としては、予(あらかじ)め自分達の手足を縛るようなことは避けたい
はずだから。

従って、“駄目で元々”という気持ちの質問だった。
ところが、全く曖昧さの無い、クリアな答弁だったので、正直に言って、
こちらが少し驚いたくらいだ。
菅氏が首相になれば、あの答弁はより重要な意味を持って来るだろう。

ちなみに、山尾議員が議員会館のエレベーターの中で偶然、
菅長官と一緒になられた時、菅氏の方から、皇位の安定継承の話題を
話し掛けて来られたとか。
菅氏の頭の中では山尾議員=皇統問題という連想が働くようだ。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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