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笹幸恵
2020.9.8 15:18日々の出来事

内閣支持率爆上がり!?

読売新聞の全国世論調査によると、安倍内閣の支持率は
52%となり、前回(8月)の37%から15ポイントも上昇
したという。6か月ぶりに支持が不支持を上回った。

えええ~。

辞任表明しただけで支持率が15ポイントも上がるのか!?

記事では、
「健康状態の悪化に伴う辞任表明を受け、
長期政権の実績が再評価されたとみられる」
と結論している。
さっぱり意味がわからない。
政権を途中で投げ出したのではないよ、
難病でやむなく、志半ばで辞任するんだよ、
思えばよくがんばったじゃないか、
という程度のお見舞いポイントか?

安倍内閣の実績について評価するとした人は、
「大いに」19%、「多少は」55%で、
評価理由のトップは
「外交で日本の存在感を高めた」だった(75%)。
これってかなりNHKの報道に丸め込まれてないか?
非常に曖昧だ。
そもそも「存在感を高めた」というのは
主観的評価でしかなく、客観的かつ具体的な「実績」とは
異なるのではないか?
私の印象としては、サミットを開催したこと、
トランプとゴルフしてSNSで発信していたこと
ぐらいしか思いつかないのだけど。
明確な国家ビジョンがあって、そのために
国際社会でのパワーバランスをうまくはかりながら
自らイニシアティブを取っていく。
そういうスタンスが伝わってくれば、
「存在感を高めた」と言えるのかもしれないけれど、
残念ながら私の主観的な評価では、それはない。

多くの人は、こう思うだろう。
良かったね、安倍さん。
いろいろあったけど、辞任前には支持率も上がったし、
最後の花道を飾れたじゃないか、と。

何もかもが道徳的規準で丸め込まれ、
そして人々はまるで何事もなかったかのように
前を向いて生活を続ける。

戦争の教訓とか、検証とか、
徹底して自己と向き合う、国家と向き合うことを
してこなかった戦後日本の姿は、
今も変わらず、そのままだ。
笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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