「皇位の安定継承」を巡る議論の中で、時に極めて“危うい”考え方も
見掛ける。それは、「神武天皇の血筋」に繋がる「男系男子」であれば、皇位の継承資格を認めるべきだ、という考え方だ。
その人物が、現に「皇族」という身分であるか否(いな)かは、問わない。これは、皇室と国民の厳格な“区別”を失わせる、「危険な」考え方だ。歴史上、このような“恐ろしい”考え方が、国民にあまねく受け入れられたことは、勿論ない。もし、そんな認識が広く行き渡っていたら、一体どうなっていたか。国民の“中に”皇位継承資格者があまた存在することになろう。平清盛も源頼朝も足利尊氏も、皆「神武天皇の血筋」に繋がる「男系男子」だった(改めて言うまでもなく、清盛は桓武天皇を介して、頼朝や尊氏は清和天皇を介して、それぞれ神武天皇に繋がる)。ならば、天皇から「太政大臣」(清盛の場合)や「征夷大将軍」
(頼朝や尊氏の場合)に任命して貰うのではなく、自分自身が“より上位”の
「天皇」になれば良い、という発想に傾いたはずだ。単なる血筋“だけ”で継承資格を認めるのは、日本の大切な国柄を破壊し、
「革命」を正当化する考え方。
皇室典範が、前近代にいくつかあった、皇族の身分を離れた者の皇籍への
復帰という「異例」を、制度上明確に排除(!)したのも、皇位継承の尊厳と、
皇室の「聖域」性を重んじた為に他ならない。【高森明勅公式サイト】
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