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泉美木蘭
2020.7.9 10:10

アビガン、「軽症者の高致死率」報告

新型コロナの治療薬として期待されていた「アビガン」ですが、
観察研究の結果、投与した患者の高致死率が報告され、
薬害オンブズパースン会議から、
研究のための新たな患者登録の
中止、治験用アビガンの供給停止、
そして治療薬として承認しないよう求める意見書が公表されました。

この意見書は、アビガンの観察研究を行ってきた藤田医科大学の
中間報告に基づくもので、
「アビガン」を投与した患者1,918名のうち、223名が死亡し、
その致死率は11.6%にのぼり、
厚労省の全国集計による日本での新型コロナ致死率1.6%、
中国での致死率2.3%よりも明らかに高く、
アビガンが有効でない可能性、さらには有害である可能性を示して
いるとのことです。

特に、軽症者がアビガン投与後に死亡しているケースが見られ、
人工呼吸器を必要としていなかった軽症患者830名のうち、
投与後42名が死亡し、致死率は5.1%。
しかも、入院後1カ月までに症状が憎悪して転院した例も35名あり、
これらの患者がその後生存しているのかどうかは判明しておらず、
アビガンを投与した軽症者の死亡率はさらに高まる可能性がある
とのこと。

年代別致死率を見ても、
従来から致死率が低いとされる20代、40代、50代でも、
アビガン投与後は致死率が1.4%~2.4%と高まったそうです。

当初から、アビガンには催奇形性が指摘され、サリドマイド事件が
想起されるところがありましたが、
それどころか、軽症者が副作用死している
可能性があったのです。

岡田晴恵教授は、これまで繰り返し、テレビを使って政府に対して
「アビガン」の早期承認を求め、
さらに、医療関係者には先に錠剤を渡しておいて、すぐに飲めるように
したほうがいいとまで発言してきました。
しかしそれは、軽症者の副作用死を招く恐れのある薬物の服用を、
なんの医学的知見もないまま、公共の電波を使って無責任に広めた、
命に関わる超危険発言だったということになります。

そもそもアビガンは、「政府が承認しなかった」のではなく、
製薬会社から「承認申請が行われなかった」薬物です。
申請に足るだけのデータが収集できていなかったからだそうです。

しかし、特に『モーニングショー』を真面目に視聴してきた人々の
多くは、
「早くアビガンを承認したほうがいい、自分がコロナになったら、
すぐにアビガンを飲ませてほしい」
と思い込まされている可能性がかなり高いです。

岡田晴恵教授は、いますぐ、アビガンの高致死率について発表し、
患者の死を招くことにつながる、自らの軽率な発言について
謝罪するべきではないでしょうか?
本当に恐ろしい話だと私は思います。

泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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