3月下旬以降、「自粛要請」を主導して来たのは小池百合子都知事
だったように見える。
わが国では法的にあり得ない「ロックダウン」という言葉まで、
“恫喝”的に口にしていた。
政府が判断した緊急事態宣言の“延長”も、東京都の「医療現場の逼迫
(ひっぱく)」が大きな動機だった。
ところが、東京都は事実とは異なる数字を公表していた(揚井人文氏の調査)。①東京都の入院病床の確保数。
5月7日の緊急事態宣言延長の時点でも、4月12日に公表した2000床という
数字を維持していた(同日以降、データを出さなくなった)。
ところが、実は4月末の時点で既に3300床(!)を確保していた
(延長“後”の5月11日〔!〕に公表)。②入院患者数の推移。
同じく延長の時点(5月6日)で2810人と公表していた。
ところが、東京都感染症対策課長への取材や厚労省への東京都の報告書(5月19日)
から、4月27日の時点で1832人、延長前の5月6日には1511人まで減少していた
(5月12日には更に1413人に減少)。
これは何を意味するか。緊急事態宣言“延長”時点で、
東京都が当初「公表していた」数字では、病床数を遥かに上回る
(病床数の約1.5倍!の)入院患者が存在したはずだった。
この数字を前提にすれば、「医療現場の逼迫」という危機感も、
確かにリアリティーを持ち得た。しかし、それは全くの錯誤、虚偽だった。
信じ難いことに、入院患者数から「退院者数」をきちんと差し引かないで、
“雪だるま”式に膨れ上がった数字を、臆面もなく公表していたのだ
(悪質極まる情報操作なのか、それとも驚くべき杜撰〔ずさん〕さなのか)。
実際は、確保された病床数の半数に満たない(!)患者しかいなかった。
ならば、おどろおどろしい「医療現場の逼迫」という表現は、
およそ実情から“かけ離れて”いたと言わざるを得ない。
東京都の医療現場の実情がこのようであれば、大きな被害を伴う
緊急事態宣言の延長は、果たして必要だったのか。
小池都知事の責任と共に、真剣に問われなければならないだろう。
そもそも、多大が犠牲を避けられない緊急事態宣言の発出自体、
適時適切だったのかどうか。感染の正確なピークアウトがいつで、一斉休校・休業要請などの
大幅な行動制限の実際上の効果はどの程度だったのか。
その効果は、経済的損失など“巨大な”負の影響と、
十分に釣り合うものだったのかどうか。
特定の政権や政治指導者を非難するという政治的な思惑からではなく、
又、後出しジャンケン的に自分を“神の高み”に置いて粗捜(あらさが)
しするのでもなく、今後の取り組みをより「合理的」なものにする為に、
冷静かつ厳格な検証が欠かせないはずだ。ところが、Yahoo!が実施している世論調査では、
「緊急事態宣言の再発令は必要だと思う?」という問いに
(7月4日午前10時15分頃の時点で)「思う」との回答が、
実に83%(21万7258票)にも達していた。「付和雷同」という言葉が頭を掠(かす)める。
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