先頃、橿原(かしはら)神宮庁が清水潔氏監修『神武天皇論』と
田浦雅徳氏監修『橿原神宮史 続編』を刊行。
その2冊を発売元の国書刊行会からご恵送戴いた。
前者は、学術的な立場から「神武天皇」を扱った近来、殆ど類書を見ない
貴重な出版と言えよう。私の手元には、日本文化研究会編『神武天皇紀元論』(昭和33年)、
中山久四郎編『神武天皇と日本の歴史』(昭和36年)、
平田俊春『日本の建国と二月十一日』(昭和42年)、
神社新報社編『神武天皇論 宮崎神宮史』(昭和59年)などの
著書がある。本書はこれらの業績を受け継ぐ堅実な良書だろう。
清水潔氏の手になる「序論」(42ページ)は力作。
この論文だけでも優に一冊分の値打ちがある。
個人的には遠藤慶太氏の「神武天皇の末孫として―近世の神武天皇」
(第4章)が特に興味深かった。又、清水節氏「『紀元節』の廃止と『建国記念の日』の制定」(第7章)
で改めて取り上げられた、「建国記念の日」を他でもない“2月11日”に
決定するに当たり、古代史学者の田中卓博士が果たされた絶大な
学問的貢献は、広く知られるべき事実だろう。後者は『橿原神宮史』(全3巻)の続編で、
昭和18年から令和2年迄を取り上げる。
これらの刊行物は橿原神宮ご創建130年を記念したものだ。【高森明勅公式サイト】
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