現代の日本人には、女性に“だけ”選挙権が無い状態は
想像しにくいし、そうした状態はおよそ不合理極まりないものと
感じられるだろう。だが、世界の各国においても、男女が平等に選挙権を
行使できるようになったのは、比較的新しい。1919年に、ドイツで男女が平等な普通選挙(財産などの制限が無い
選挙)が行われたのが、一国規模の選挙としては最初だろう。
但しこの前年、イギリスで30歳以上の戸主又は戸主の妻に限定して、
女性にも選挙権を認めていた。更にアメリカのワイオミング州では、早く1869年に女性に
選挙権を認めている(州レベルながら世界初とされる)。
しかし同年、アメリカ全土で黒人男性に選挙権が公認されているから、
アメリカで差別されていた黒人よりも、当時の女性はもっと
政治から排除されていたことになる(もっとも、黒人にも
選挙登録での差別的な扱いなどは残った)。アメリカ全土で男女平等の普通選挙に踏み切ったのは1920年。
随分遅れている。イギリスでの男女平等普通選挙は1928年。
フランスと日本は同じ1945年だった。
フランスの場合、既に1792年に世界最初の男性普通選挙が
行われていた(国民公会の選挙)から、女性の選挙参加は、
それから150年以上も遅くなっている。イタリアも同年。
その他、ベルギー・イスラエル・韓国が1948年。
ギリシャが1952年、スイスが1971年だった。
男女の間の不平等は、一般に考えられている以上に根深く、広範だ。現在も、十分に自覚されていない不平等が、
まだまだ残されているのではないか。【高森明勅公式サイト】
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