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高森明勅
2020.5.8 06:00その他ニュース

男女平等選挙の意外な新しさ

現代の日本人には、女性に“だけ”選挙権が無い状態は
想像しにくいし、そうした状態はおよそ不合理極まりないものと
感じられるだろう。

だが、世界の各国においても、男女が平等に選挙権を
行使できるようになったのは、比較的新しい。

1919年に、ドイツで男女が平等な普通選挙(財産などの制限が無い
選挙)が行われたのが、一国規模の選挙としては最初だろう。
但しこの前年、イギリスで30歳以上の戸主又は戸主の妻に限定して、
女性にも選挙権を認めていた。

更にアメリカのワイオミング州では、早く1869年に女性に
選挙権を認めている(州レベルながら世界初とされる)。
しかし同年、アメリカ全土で黒人男性に選挙権が公認されているから、
アメリカで差別されていた黒人よりも、当時の女性はもっと
政治から排除されていたことになる(もっとも、黒人にも
選挙登録での差別的な扱いなどは残った)。

アメリカ全土で男女平等の普通選挙に踏み切ったのは1920年。
随分遅れている。

イギリスでの男女平等普通選挙は1928年。
フランスと日本は同じ1945年だった。
フランスの場合、既に1792年に世界最初の男性普通選挙が
行われていた(国民公会の選挙)から、女性の選挙参加は、
それから150年以上も遅くなっている。

イタリアも同年。
その他、ベルギー・イスラエル・韓国が1948年。
ギリシャが1952年、スイスが1971年だった。
男女の間の不平等は、一般に考えられている以上に根深く、広範だ。

現在も、十分に自覚されていない不平等が、
まだまだ残されているのではないか。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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