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泉美木蘭
2020.4.30 13:26

「もっとPCRやれ!」でキットが枯渇しても良いのか?

仙台医療センターのウイルスセンターで、
実際にPCR検査を行っている西村秀一氏の寄稿を紹介します。

PCR論争に寄せて─PCR検査を行っている立場から検査の飛躍的増大を求める声に
(日経メディカル)
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/report/t344/202004/565349.html

要約すると、

検査技師が人間であることを無視して、世論の突き上げに従って
PCR検査をどんどん行ったとしても、偽陰性と偽陽性があり、
また、陽性であっても、そのウイルスが「生きているウイルス」とは
限らない。
こうした検査結果についての適切な解釈ができないのに、
これまでのように絞り込むことなく、むやみに検査を行っても、
それは単に「形式を踏むだけのもの」になる。

検査には、何種類もの試薬を順番を間違えずに加えていく
技術力が求められるもので、専門性が必要。

お手軽に人材を増やすことは
「整形外科の先生に眼科の手術をやらせる」

ようなもの。

検査に必要なRNA抽出キットがすべて輸入品で、
現在、世界各国で奪い合いになっている。
今後、無制限の検査が行われた時、キットは間違いなく枯渇する。
すると、冬に第2波が来た時、PCR検査はできなくなる。

「もっとPCRやれ! 全国民やれ!」と無責任に
煽るワイドショーは、もはや害悪です。

泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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