神奈川新聞記者(経済部キャップ)の田崎基氏から
ご自身の著書『令和日本の敗戦ー虚構の経済と蹂躙の政治を暴く』
(ちくま新書)を送って戴いた。以前、何度か取材を受けた記者の方だ。本文中に私のコメントも掲げてあった。次の通り。「天皇制の維持と退位制度の創設に強い思いをにじませ、
『国民の理解を得られることを切に願っています』と締めくくった
平成の天皇による『お言葉』であったが、安倍政権は退位制度を
恒久化することなく、『一代限り』の特例法によって退位を認める形で
解決した。これが異常な解決策であったことを記憶にとどめておきたい。
…現行制度にない天皇の生前退位を新たに認めるのであれば
(憲法の規定に忠実に従う限り)『皇室典範』を改正するほかない。
だが政府はその憲法に明記された方法をとらなかったのだ。
このやり方に、天皇の歴史や制度に詳しい高森明勅氏は『遺憾だ』と
憤りをあらわにする。『天皇の地位と、尊厳にかかわる問題。
皇室典範の改正が唯一の選択肢だったはずだ』天皇が終身在位する制度は、
過去の天皇の歴史からすればむしろ異例で、生前退位が標準的な皇位継承
の形だという」このコメントはどの局面で取材に応じた時のものだったろうか。
政府は特例法を皇室典範と法的に「一体」のものとする抜け道を考え出した。
更に、典範の本則はそのままとして、附則だけを「改正」するという便法を
用いた(特例法附則3条)。その結果、ギリギリ憲法違反を免れながら、典範それ自体に向き合うのは
回避するという、狡猾(こうかつ)な“綱渡り”を演じて見せたのだった。
他の事案ならともかく、尊厳この上ない皇位の継承について、こうした
姑息(こそく)醜悪な奇策を許してしまったことは、皇室に対して
国民の1人として慚愧に堪えない。【高森明勅公式サイト】
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