私が以前、公表した皇室典範改正案(拙著『天皇「生前退位」の真実』ほか)。
今ではいくつか訂正すべき箇所が出て来た。その1つは「皇太弟・皇太妹」を追加した箇所。具体的には、私案の8条2項・11条2項・17条1項1号・19条・22条など。皇室典範は改めて言うまでもなく、皇位継承の「直系」主義を採用している。その当然の帰結として、直系の皇嗣(皇太子・皇太孫)と傍系の皇嗣(皇太子・皇太孫でない皇嗣)の位置付けに、明確な格差を設けた。①「皇太子」「皇太孫」という“特別な称号”の有無をはじめ、
②前者には皇籍離脱の可能性が一切否定されているのに対し、
後者の場合は必ずしもそうではない。又、③摂政の任の更迭の扱いでも、
前者と後者には格差が認められる(摂政の就任順序も、前者は皇太子・
皇太孫と名指しされ、後者は親王・王に含まれるという格差があるものの、
事実として就任順序そのものに影響は無い)。更に、④成年に達するのも前者だけが18歳に繰り上げられている。
そうした両者の格差への配慮が十分でなかった。
その為に、傍系の皇嗣にも「皇太弟・皇太妹」という、直系の皇嗣に
“準じた”特別な敬称を追加する条文案にしてしまった。
今の皇室典範のままでも、歴史的には“皇太弟”と称されたような
お立場の方が現れ得ることは当然、予測できた(今の秋篠宮殿下が
まさにそれに当たる)。
にも拘らず、典範はそのような方への特別な称号を“敢えて”用意しなかった。
それはまさに、直系主義→皇嗣であっても直系と傍系では格差→称号の
有無でも格差、という整合的な体系に位置付けられる事実だった。そのように考えると、傍系の皇嗣に改めて称号を設けるのは適当ではない、
と思い至った(だから皇室典範特例法でもそうした称号を設けていない)。
よって、私の改正案から「皇太弟・皇太妹」という称号を削除すべきである
と考え直したので、ここに報告しておく。【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/
BLOGブログ
前の記事へ立皇嗣の礼は延期へ
「おじ・おば」日本とシナの違い 次の記事へ