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高森明勅
2020.4.9 06:00皇室

立皇嗣の礼は延期すべきか?

秋篠宮殿下が「皇嗣」でいらっしゃることを、
天皇陛下が改めて明らかにされる立皇嗣の礼。
内閣の責任で国事行為として行われる。政府は何故か、これを御代替わりに伴う一連の行事に位置付けた。しかし、旧皇室令では、即位の礼や大嘗祭は「登極令(とうきょうれい)」で、立太子の礼は「立儲令(りっちょれい)」で、という具合に、両者はその性格の違いを踏まえて、それぞれ別に規定されていた。ご譲位が御代替わりの一般的な形だった前近代においても、
それらが一連のものとされた事実は無い(勿論、立“皇嗣”の礼そのものは
全く前例が無いのだが)。
だから、政府の位置付け方それ自体に、元々無理があった。
だが、それはともかく、立皇嗣の礼は4月19日に予定されている。
政府はその予定を変更するつもりは無いのか、どうか。

去る7日に、新型肺炎の感染拡大を受けて「緊急事態宣言」が発令され、
少なくとも5月6日までは“緊急事態”下にある。
そんな局面で、本来、皇嗣のお披露目として、お目出度い性格を持つはずの
儀式を行うことは、果たして天皇陛下と秋篠宮殿下のお気持ちに添うのだろうか?

又、国民も今、屈託なく、晴れやかにお祝いできる雰囲気だろうか。
敢えて繰り返すが、この儀式は国事行為である以上、内閣の責任で行うもの。
もし内閣がその重要性を理解しているならば、儀式の延期を決断するのが
至当ではあるまいか。
少なくとも、それが皇室を敬う気持ちを持つ者の、普通の考え方だろう。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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