平成31年4月21日付の朝日新聞は、秋篠宮殿下がご即位を辞退される
可能性について言及されたことを報じた。
一見、突飛な報道のように受け取られたかも知れない。
しかし、現在の皇室典範の規定のままでも、法的には不可能ではない
(第3条。園部逸夫氏『皇室法概論』57ページ)。
だから、極めて重大な報道だ。しかし、宮内庁は結局、この報道を否定しなかった。
この件より、重大性において遥かに下回ると見られるケースでも、
厳格に否定して来ているにも拘らず。
この事実が持つ意味は重い。しかも、秋篠宮殿下のご年齢は、天皇陛下より僅か“5歳”下でしかない。
天皇陛下がもし(この度の上皇陛下のように)85歳で譲位されたら、
その時は既に80歳になっておられる。
ご高齢になられた場合、健康状態の個人差は大きい。
畏れ多いが、過去には昭和天皇より4歳お年下の高松宮が、昭和天皇より
2年早く亡くなられたような例もあった。
客観的に考えて、80歳(又はそれに近いご高齢)になられてからご即位戴くのは、
現実的ではあるまい。そうかと言って、秋篠宮殿下の為に、お元気な天皇陛下が早々と
譲位されるのは、この度の上皇陛下のご譲位とは趣旨が違ってしまう。
或いは、恣意的なご譲位とも見られかねない。
だから常識的には、秋篠宮殿下が実際に即位される可能性は、
実はかなり低いと見なければならないだろう。
皇位の安定継承への道を探る場合、そうした現実も冷静に
考慮しておく必要がある。【高森明勅公式サイト】
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