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高森明勅
2019.11.22 06:00皇室

神宮ご親拝を望まれた過去の天皇

伊勢の神宮に初めてご親拝(しんぱい)された天皇は明治天皇だった。
しかし、それ以前にも、神宮へのご親拝を望まれた天皇がいらっしゃ
なかった訳ではない。

史料によってその事実を知り得る最も古い例は、
69代・後朱雀(ごすざく)天皇だ。

長久元(1040)年7月26日、突然の台風によって神宮の外宮
(げくう=豊受〔とようけ〕大神宮)の正殿(しょうでん)・東西宝殿
・瑞垣(みずがき)等がことごとく転倒。
天皇はその事を深くお嘆きになり、自ら神宮へのお出ましを希望された。
しかし先例が無い事なので、その是非を側近の者(藤原資房〔ふじわらのすけふさ〕)
に下問されたところ、事柄が余りにも重大なので、はっきりと妥当であるとの
回答は得られなかった。
その為、お出ましはお取り止めになり、代わりに宣命(せんみょう)を
ご自身で書かれ、毎夜、神宮をご遥拝(ようはい=遠くから拝礼される事)の上、
その宣命をお読みになったという
(『百錬抄〔ひゃくれんしょう〕』に引用された資房の日記による)。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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