民俗学を大成した柳田国男。
大嘗祭について、以下のように述べていた。「神と君と、同時に御(お)食事をなされる、寧(むし)ろ
単純素朴に過ぎたとも思はれる行事」(『海上の道』)と。
まさに至言だろう。メディアでは、相も変わらず「秘儀」「秘事」と騒いでいた。
しかし、悠紀・主基両殿の内陣で行われる天皇のご所作については、
その詳細を認(したため)めた史料も多く残っている。
それを元にした精密な研究も公刊されている
(安江和宣氏『大嘗祭神セン御供進儀の研究』他)。
その意味では、取り立てて「秘儀」と言うのは当たらない。天皇陛下が即位されて先ず新穀(元々はお米だけ。
後に粟〔アワ〕も)を召し上がられるに当たり、皇祖をお迎えして
丁重に新穀などを供えて“おもてなし”をし、しかる後に召し上がられる。
ただ、それだけの事に過ぎない。まさに「単純素朴」。
ただ、見落としてはならないのは、その新穀が天皇に直属の田んぼの
収穫物ではなく、国家の公的な統治の下にある公民・国民が育てた物に
限られていたという事実だ。
その事によって、大嘗祭は皇位継承に伴う伝統的な儀式の中で、
唯一「天皇ー国民」の関係を総括する意味を持つ。
大嘗祭は天皇と国民をつなぐ祭りだ。【高森明勅公式サイト】
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