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小林よしのり
2019.11.2 08:34日々の出来事

時処位の道を弁えて描く韓国論

あらゆる事象に「矛盾」が潜んでいる。
男尊女卑にも矛盾が潜んでいるし、天皇制と民主主義の
接合にも矛盾が潜んでいる。
民主主義にも矛盾が潜んでいるし、人権という概念にも
矛盾が潜み、日本国憲法は矛盾だらけである。
表現の自由にも矛盾が潜むし、日韓併合の評価にも矛盾が
潜んでいる。

「関西ゴー宣道場」のHPの「タッチ&ゴー宣」で、
『ゴー宣』第63章「韓国併合前の朝鮮の状況」の感想を
読んだ。
イザベラ・バードという一次史料に基づいて描いただけ
という把握は絶対必要である。

カレーせんべいの言った「朝鮮は近代化していなかった
から、日韓併合をして良かったんだ、という世の中の
意見には、私はどうしても抵抗感を覚えるんです」
いう告白は重要である。

実はわしもそうで、悪を引き受けられない自分の青臭い
善良さが邪魔をするからである。
西郷隆盛の道があったと今でもわしは思っている。
そこを探るために今まで『大東亜論』を描いてきたのだから。

わしが今、「韓国論」を描き始めたのは、当然、慰安婦合意
を破綻させ、徴用工問題で日韓基本条約まで崩壊させよう
とする韓国の「反日」イデオロギーにとどめを刺す時期が
到来したと思ったからだ。

それは単なる「嫌韓」ではない。
なぜなら、「日韓関係を良くするために、国際法の発展を
基礎とする常識を育てる」という意図がある。
今は北朝鮮にコンプレックスを持ち、北朝鮮に吸収され
かねない韓国を救うためという動機で描いている。

ものごとには「時処位」というものがある。
熊沢蕃山が「時処位」をこう語る。
『時間と場所と立場に応じた状況の差があるから、状況に
応じて対応を変えるのを見て、同じだとか、異なるだとか
言い募るのは、「時処位」の道を知らないからである。』

例え「嫌韓」と勘違いされようとも、今という絶好の
タイミングが来たからには、「時処位」の道に従って、
韓国併合に対する「事実」と「道義」の矛盾をあえて
投げ出して、そこからアウフヘーベンするしか、
日韓関係を真に修復する道は見えてこない。

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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