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高森明勅
2019.9.12 06:00皇室

「一世一元」プラス「ご譲位」

元号の歴史を大きく区分するとどうなるか。

最大の区切りは「明治」以降とそれより前。
明治より前は様々な改元があった。
次の通り。

①代始(だいはじめ)改元
②祥瑞(しょうずい)改元
③災異(さいい)改元
④革年(かくねん)改元
⑤その他

これらの中から明治以降は①だけを残した。
それが「一世一元(いっせいいちげん)」制。
その時に、併せて「終身在位」という新しい制度に変更した。
従って、明治・大正・昭和は「終身在位」+「一世一元」という形だった。
その場合、改元は必ず先帝(せんてい)の崩御(ほうぎょ)に伴う
「哀(かな)しみの改元」。

ところが、それが「令和」から変わった。
「ご譲位」を前提にした改元となった。
「ご譲位」+「一世一元」。
これは元号の歴史の中で初めて。
令和から元号は“次の”歴史のステージに移った。
この組み合わせによって、「慶(よろこ)びの改元」が実現した。
それが、国民の気持ちをいかに高ぶらせ、人々の自然な一体感を生み出すか。
私たちはそれを目の前に見た。

先日の日本教師塾の研修会で、「元号のメリット」について質問された。
今回のような国民的高揚と一体感をもたらす力こそ、
元号の効用の小さくない1つだろう。
それを眼前に見ながら、更に自分がそのただ中にいながら、
かえって身近過ぎて気付かないようだ。
一世一元制は、「ご譲位」との組み合わせによって、
大切な魅力を新たに付け加えたのではないか。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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