十数年ぶりにミュージカル「李香蘭」を観に行きました。
演出家、故・浅利慶太氏の追悼公演。
ずっと野村玲子が主演を張っている。
30年近くなるのか・・・?
(これで10代の李香蘭も演じるのだからすごい)
浅利氏が劇団四季で手掛けた戦争三部作
「李香蘭」「異国の丘」「南十字星」
すべて観ていますが、その中で
切ないけど華やかさがあるのが「李香蘭」。
演出が本当に素晴らしい。
男装の麗人、川島芳子がストーリーテラーとなり、
満州国建国前後の時代が丁寧に描かれる。
関東軍の本音と建て前、
お飾りである満州国皇帝溥儀の姿、
ジャーナリズムが強硬に煽る様子、
海軍の「月月火水木金金」、
真珠湾攻撃のときの「トラトラトラ」という
モールス信号、わだつみのこえ、
シーンの一つひとつに浅利慶太氏の執念が感じられる。
入場したとき、配布されたのは
「語り継ぐ日本の歴史」という、
浅利氏が書いた文書だけだった。
そこには、こう綴られていた(一部抜粋)。
「戦時中の指導者の中には、前述した
非人間的な思い上がりがみえる。
そしてこの民を軽んじる『官僚主義』と、
これに不可分な『事なかれ主義』は、
過去も、現在も、日本人の社会を蝕む
宿痾ではないかと思い至った時、鳥肌が立った。
いつか日本は、この戦争の『開戦』と
『敗戦』の責任を、情緒論には流されず、
自らの手でしっかりと裁き、歴史に刻印
しなければならない」
そんな思いで戦争三部作を手掛けたのかと
思っていたところへ、幕が上がった。
なんだかそれだけでウルウルしてしまった。
やっぱりすごい迫力だよね。
「李香蘭」は楽曲がすばらしいのも魅力。
『蘇州夜曲』『夜来香』はもちろんだけど、
松花江の歌も心にしみたなあ。
今回は、李香蘭を裁く上海軍事裁判所の裁判長の
歌声が一番良かった。
伸びがあって、落ち着きと温もりを感じさせる。
個人名が出ていなかったのだけど、
どなただったのでしょう……?
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