朝日新聞が以下のような報道(4月21日付)。
「『兄が80歳のとき、私は70代半ば。それからはできないです』
一昨年6月、天皇陛下の退位を実現する特例法が成立した後、
秋篠宮さまが皇位継承についてこう語るのを聞いた。
当事者として、高齢で即位する難しさを指摘した形だ。
代替わり後、秋篠宮さまは皇位継承順位1位の『皇嗣(こうし)』となる。
『天皇になることを強く意識している』
という皇室研究者の見方が報じられると、
『そんなこと思ったことがない』と打ち消す発言もあったという」
この報道に驚いた人がいるかも知れない。だが、当然予想できた事だ。
記事中の秋篠宮殿下のご発言にもあるように、
先ずご年齢が近い。
皇太子殿下が今上陛下と同じ85歳まで在位された場合、
79又は80歳でご即位という話になる。
常識的に判断して、
それはあり得ないと考えるのが普通だろう。
だからと言って、新天皇がまだまだご活躍できる年齢で、
早めに秋篠宮殿下に譲位されるというのも、
今回のご譲位の趣旨から外れてしまう。次に、そもそも秋篠宮殿下は、
「皇太弟」又はそれに類した称号を、辞退されている。
「皇嗣」は本来、普通名詞であって“称号”ではない。
たまたま、その時点で皇位継承順位が第1位である
事実を示すに過ぎない。
だから、秋篠宮殿下の皇位継承上の地位を固める為には、
特例法で何らかの新しい称号が創設されるべきところ、
見送られた。その背景には、ご本人が「皇太子たるべく教育を受けて来ていないから」
と辞退されたという事情があったと、これまで繰り返し報じられている。
これは重大な情報。
しかし、その重大さに殆ど気付かれていないようだ。
「皇太子たるべく教育を受けて来ていない」という理由で、
皇太弟を辞退されたのが事実なら、
それより遥かに“重い”お立場である「天皇」に
そのまま即位されるという流れは、
なかなか想像しにくいと考えるのが自然ではないか。一昨年の特例法成立の時点で事実上、
秋篠宮殿下のお考えは示されていたと言うべきだ。
今の皇室典範にも以下のような規定がある(第3条)。「皇嗣に…重大な事故があるときは、
皇室会議の議により…皇位継承の順序を変えることができる」と。
これについては、既に次のような解釈がなされている。
「皇嗣が皇位の継承を拒否するという意思表示を
公(おおやけ)の場で行った場合が『重大な事故』
に当たると解することが可能であれば、
皇嗣は自らの意思により皇位を継承しないという
選択を行うことが可能になると解されることになる」
(園部逸夫氏『皇室法概論』57ページ)皇室を敬う国民的心情に照らしても、
人道上の観点からも、それはやはり「重大な事故」
と解する以外にないだろう。
なお、「国事行為の臨時代行に関する法律」の
「事故があるとき」(第2条)について、
“(天皇の)外国訪問”なども想定されているように、
条文での「事故」は、必ずしも価値的な
マイナス評価に当たる事態ばかりを指すものではない。念の為。
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