天皇陛下の前立腺癌のご手術に当たった
東京大学医学部名誉教授、北村唯一氏。ご手術直後の陛下のご様子について、以下のような証言をしている。「手術直後、病室に移動するためのストレッチャーに乗せられた陛下に『無事終わりました』と伝えると、一言『ありがとう』とおっしゃいました。普通、手術直後は朦朧(もうろう)とした状態が続いていますから、手術室でお礼を言われた経験はあまりありません。印象的な出来事でした」と。陛下はこんな場面でも、やはり「天皇」であられた。これは生半可な“修行”などで出来る事ではあるまい。まさにご幼少期以来、長年に亘り「天皇」たるべく周囲もご養育に当たり、何よりご本人が努めて来られたからこそ、だろう。普段なら誰でも、それなりに立派に振る舞う事ができる。だが非常の際には、隠しようもなく、
その人の本当の価値が露出するものだ。