『ゴーマニズム宣言 2nd season』第1巻の門下生の感想をご紹介します!
ゴーマニズム宣言2nd season ①を拝読しました。
私はSPA!を読んでおりませんので、今回が初めてゴー宣2nd seasonに目を通した形になります。
一番印象に残ったのはやはりオウムの回です。以前申した通り、私は麻原彰晃逮捕の後に生まれた身なので、この時期のオウム真理教に関する風潮を全く知りません。そのような身にとって、このようにオウム事件を総括してくれるのは、それをあまり知らない世代にとっても非常に有り難いことだと思います。特に私はゴー宣を途中から読み始めた身なので、昔の出来事をもう一度描いてくださるのは有り難かったです。『「もうそれは書いたから」とか言ったらだめだと悟ったよ。手を変え、品を変え、何度も言わないと。』とおっしゃっていましたが、その通りです。よしりん先生は他にも描きたいことがたくさんあるでしょうが、時には過去のことをもう一度主張していただきたいです。
なぜ私のような多くの若者がオウムにのめり込んだのか?『この社会には、共同体が崩壊して、承認願望を充たされない若者がいっぱいいる。実存を感じられず、不全感を抱く若者が、既存の宗教団体が形骸化している現状では、自分を承認してくれるカルト教団に帰依していくことは不思議ではない。』とあり、なるほどと思いました。また、当時はポストモダンの時代で、オカルトやサブカルが流行っていたという時代背景があるのも納得できました。そういった文化的な時代背景は違うにせよ、未だに承認願望を求めている若者がいる現状には変わらないと思いました。
『残虐非道の殺人者には、きちんと罰を与えてやることこそが、加害者の人権を尊重することになるのだ。』『多くの人を殺し、一生残る障害を与えたのだから、自分の死くらい覚悟していて当然なのが、現実というものだ。死刑執行は松本智津夫に現実を見せつける唯一の手段だったのだ!』『死刑は麻原を人間扱いする温情であったといえる。麻原ら13人の処刑を命じた法務大臣は情け深い。彼らが人間であるうちに、人間社会の法を適用して、人間の尊厳を守ってやった。』『本当に悪魔のような人間なんてそんなにいるわけではない。だが世の中には、「普通の人」が悪事に手を染めることなんていくらでもあるじゃないか。』ゴー宣ならではのこのような文言、とても刺激的でした。
その前にあった『君たちはどう生きるか』も考えさせられました。私は、日本人はもっと死生観を持つべきだと考えていますが、そんなわたしでもいざあのような状況になったらどういう行動をとれるかわかりません。特に結婚して家族でもいたりしたらなおさらだと思います。そのような中、犠牲となった梅田さんを我々はもっと称賛するべきでしょう。コぺル君ではなく。
『いまは、卑怯者を慰める本が売れるのだ!』とありましたが、嘆かわしいことです。最近読んだ「読書のすすめ」の清水店長の本に、『本はそもそも読者に媚を売らないものでした。「俺はこういう思想を持っている」ということを本にして出す。鈴木大拙も夏目漱石もまず最初に「俺はこうである」と、バンと世に出しました。(中略)ところが今の出版物というものは、どうやったら売れるか、それが第一の目的なのでどうしたって簡単になるし、当たり前のこと、わかりやすいことを書いた本しか出せなくなってきているという現状がありますね。』と同じようなことを述べていました。そう考えると「ゴーマニズム宣言」というのはまさに思想の書でありますし、今の世において非常に重要な存在だと思います。
よしりん先生が編集者から「あなたのような読者の胸ぐらつかんで『読め!』と強要するような描き方はもう古い」と暴言を吐かれてから、もう30余年。
今なお変わらずバンと思想を世に出し続けているのは凄いことです。
問題は、世の人がその凄さに気づいているかどうか?
気づいているなら、今すぐ読め!!