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高森明勅
2018.12.16 12:39皇室

紀宮清子内親王ご命名秘話

女優、檀ふみさんのお手柄をもう1つ。
天皇陛下のご長女、紀宮(のりのみや)清子(さやこ)
内親王(現・黒田清子様)ご命名の由来について。
これも皇后陛下から直接、伺っておられる。
 
以下、ご本人の文章から。
 
「美智子さまは、
『万葉学者の五味智英先生(元東大教授)
のご講義が面白くて、結婚前から十何年か
習ったんです。そのときのメモがないかと
探していたら、こんなものが出てきたの』
と仰(おっしゃ)って、万葉集巻6の917
『紀伊国に幸(みゆき)せる時に、
山部宿禰赤人が作る歌』のコピーを見せてくださいました。
そこに、
沖つ鳥 清き渚に 風吹けば 白波騒き
という一節があって、ここから『紀』と
『清』をとって紀宮清子(きよこ)内親王
というお名前が候補に挙がったそうです。
 
それを美智子さまは、
笹の葉はみ山もさやにさやげども
我は妹(いも)思ふ別れ来ぬれば
という歌から、
『さやこ』という読みにしては
と望まれたというのです。
 
『さやにさやげども、
という響きが好きだったものですから』
と明かしていただきました。
 
清子さまの名前の出典が
万葉集であることは公表されていますが、
『さやこ』という読みの由来はあまり
知られていないように思います」
 
これも貴重な逸話だろう。
 
それにしても、代表的な万葉学者だった
五味氏から「十何年」も個別講義を
お受けになった皇后陛下の万葉集へのご造詣は、
いかばかりか。
高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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