11月24日、古代史学者の田中卓先生が
94歳で亡くなられた。兵庫県のH先生からお知らせ戴いた。茫然自失。まさに、巨星墜(お)つ、の感が深い。日本律令学の大成者、瀧川政次郎博士がかつて、田中先生について「正統日本史学唯一の闘将」という趣旨の評価をしておられたのを思い出す。戦後のマルクス主義歴史学の全盛期に、孤軍奮闘、精緻な実証と公正な学的態度で、真っ向から戦いを挑まれた。それは昨今、見え始めている古代史学の健全化の兆しの、掛け替えの無い先駆けだった。改めて正・続『田中卓著作集』を読み返し、先生の学問的偉業を偲びたい。
先生、長年のご尽力、有難うございました。