人権が国家以前に自然権として(そもそも自然権って何じゃ?)
存在すると、本気で信じている者がいるとは思わなかった。
偽善も欺瞞も排した子供の目線から見れば、じゃなんで犬権や
猫権はないの?と言い出すだろうし、牛も豚も鶏も人間に食わ
れるために生まれてきたの?牛権、豚権、鶏権はないの?と
聞くだろう。
鯨権はあるから、日本の漁民の人権を無視して、捕鯨を禁じる
ことにしたの?という疑問も出るかもしれない。
全生物の中で人間だけが権利を持っているのはなぜなの?と
聞くのが「王様は裸だ!」の精神だし、イデオロギーに縛られ
ない子供の目線だろう。
自然権と聞いて、疑問に思わないのがまたおかしい。
自然は人間をそんなに尊重しているか?
地震や津波や台風が人間を大量殺戮するこの日本に住んでいたら、
自然が人間の都合なんか一切考えてくれないことは分かるだろう。
人権なんかそういうことにしておこうというフィクションだと
気付かなければおかしい。
憲法も立憲主義も近代国家も民主主義も、本来西洋の産物だ。
それを日本も取り入れることにしたのだが、いまだに民主主義も
立憲主義も根付かない。
国家以前に人権があるのなら、なぜ中国にも北朝鮮にも中東にも
人権がないままなのだ?
日本だって人権が100%守られている国か?
国家以前は人権が守られる世界があったのか?
あるわけないよ。
国家以前はもっと人権は無視されていたはずだ。
中国を人権無視だと批判するのは、人権イデオロギーが通用
する国際社会においては、やや有効だろうが、どうせ中国に
とっては痛くも痒くもないさ。
現実には、中国で100%の人権を認めたら、共産党一党独裁
の体制そのものが崩壊してしまう。
そうなったときの中国は、カオスになるから、そこら中で
殺し合いが始まって、人権どころではない。
秩序のない世界で人権なんか消滅するのは、イラクやシリアを
見れば分かるだろう。
人権については本一冊描けるくらいの知識はあるから、
説明するのはめんどくさい。
わしの『民主主義という病い』と『堕落論』を読めば、
ほぼ分かると思うのだが、みんな読解力がないから、
読んでも分からないのだろう。
『ゴーマニズム宣言 2nd Season』の連載を通して、
ゆっくりゆっくり分からせていくしかない。