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泉美木蘭
2018.10.20 16:47日々の出来事

なにかにしがみつくのは・・・

「過去に座り込んで、思い出話をさめざめ語るような女には
なるんじゃない、それはただ時計の針を止めるだけ。
今の連続を回転させていくこと。
それから、他人の世界へ入り込んでいこうとしないこと。
こちら側とあちら側をわきまえる、
それが、女らしいということだと思う」

生きている人は死ぬ。
だけど、遺された言葉がこうして私のなかで呼吸している。

感傷的になることはあったとしても、
「自分には理解者がいない」とか、
「傷ついた心を誰もわかってくれない」とか、
そういう言葉にしがみつくのはあまり好きじゃない。
もちろん助けられることもあるし、助けることもあるけど、
悲劇に居直って、私情・私怨の沼のヌシになってしまうと、
泥のついた手で他人にしがみついたり、足を引っ張ったりして
しまいがちだ。だから気を付けたいし、理解されてたまるか、
という跳ねっかえりも大事にしておきたい。

自分にはまったくなんの非も責任もないのに、
突然に理不尽な厄災が降りかかってきて苦痛を背負うことって、
何度もある。
かと思えば、もう十分に大人であるはずの自分の選択や決断が
間違っていたり、考えが全く足りていなかったりすることもある。
あるいは、苦労を買ってでもその道を望んだり、
誰かを傷つける苦渋と後悔も引き受けて、答えを選択することも
あると思う。

現実ってまったく容赦のないもので、丸く収まるなんて幻想なんだ、
ということを思い知らなきゃ、強くなんてなれないのかも。
そんなことがふと頭によぎる土曜日。
個人のつぶやきです。

泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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