来年の皇太子殿下が即位される当日は、
この年だけ祝日になる。それは当然だ。しかし、それによって「10連休!」などと大々的に報道される様子を見ると、複雑な気持ちになる。安倍内閣がご即位の日取りを決めるのに、敢えて国際的な労働者の祭典の日(メーデー、労働祭)「5月1日」を選ぶという奇妙な事をしたのは、10連休の為かと勘繰りたくなるからだ。新しい天皇のご即位は、まさに新時代の幕開け。だから、それに相応しい日を選ぶのが当たり前だろう。そうすると、普通に考えるなら1月1日か4月1日の二者択一。現に政府は当初、1月1日案だった。しかし、これは無知を露呈した事になった。来年の1月7日には、今上陛下にとって特に大切な意味を持つ「昭和天皇30年式年祭」が行われる。それを1週間後に控えてご譲位戴くというのは、政府のやり方として余りにも非礼。よって勿論、撤回された。かくて消去法で、宮内庁が予定していたとされる4月1日になるはずだった。同年11月に行われる、重大な伝統的皇位継承儀礼である大嘗祭の準備を考慮しても、自ずとそうなる。同祭で最も大切な意味を持つ、新穀を献上する悠紀(ゆき)・主基(すき)両地方を決める際に、既に田植えが終わったタイミングでは、祭儀としての清浄さに配慮した場合、決して望ましくないからだ。5月1日のご即位では、それより後から両地方を選ぶという手順になる。明らかに遅すぎ。前にも指摘したように、田植えを終えた地方が予め候補から除外されるか、田植えが済んでいても構わずに選ぶという結果になるからだ。どちらにしても、「国民統合の象徴」である天皇の地位を継承されるのに伴って斎行される、一代に一度の神聖な祭儀には相応しくない。にも拘らず、政府はこの日のご即位を押し通した。200年ぶりのご譲位による皇位継承の重みよりも、10連休という目先だけの大向こう受けを優先した
ように見えてしまう。