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泉美木蘭
2018.9.16 17:14日々の出来事

「ヨーロッパの家庭医」と「日本人のかかりつけ医」の違い

イギリス、スウェーデン、ドイツなどヨーロッパでは、
「家庭医」「ホームドクター」「医療センター」など、
国によっていろんな言い方で、かかりつけ医が指定され、
病気やケガの際はまずそこにかかるのが原則です。

たいていどこも電話予約が必要ですし、
国によってはその初診で何日も待たされる場合があります。

「ヨーロッパの、社会的に制度化された家庭医」は、
「日本人が、日頃かかっている町のお医者さん(開業医)」
とは意味合いが違います。

ヨーロッパの家庭医は、
レントゲンは見れるけど、それ以上の検査はできなかったり、

そもそも薬の処方は看護師がやっていたり。
患者は、夫婦喧嘩のおさめ方から、子供が夜寝ないとか、
病気やケガだけでなくさまざまなことを相談するようです。
医師として治療するというより、「患者の悩みを聞く」という
側面が大きいのです。

コミュニケーション能力のほうが大切になりますし、
診療も予約制でゆるやかだったりしますし、
女性が活躍できるだろうなと思います。

その代わり、日本のように、いつでも、誰でも、どこにいても、
好きな病院にかかれる仕組みはありません。

日本のように
「歯医者だったらどこがいい?」とか
「先週あの医者で見てもらったけど、いまいちだった。
今日、別の病院に行ってくる」とか
自由に信頼できる医者を探して通院することはできません。

家庭医と専門医を分けて、
患者が医者へたどり着くまでの道筋を
整理し、距離を作って、
医療費を調整しているのが
ヨーロッパの医療です。

「捻挫ぐらいで大学病院に来てはだめ」という類の話ならば
わかるけど、そもそも医者に簡単にたどり着けない仕組みなんて、
日本の医療制度の恩恵を受けている身では考えられない
ですが、
思うに、
西洋の病院の起源は、教会や修道院でのケア
でしたから、
ヨーロッパではこのような「相談役」的な家庭医システムが
違和感なく定着し、国民性としても受け入れられて
いるのかも
しれません。
ちょっと日本人とは感覚が違いますね。

 

泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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