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小林よしのり
2018.9.16 09:09日々の出来事

欧州の医療システムは導入できない

中村ゆきつぐという人が、女医問題でわしに反論してる
ので、簡単に書いておこう。

欧州では利用者が好きな時に、好きな町医者や大学病院
を選ぶ自由はありません。
セカンド・オピニオンなんて気軽に聞きに行く自由など
ないのです。
医療センターに電話して、指定されたかかりつけ医・
家庭医に、指定された日に行くしかないのだから、
緊急の体調悪化の場合、治療が手遅れになるかもしれ
ない。

しかも欧州の家庭医と、日本の町医者のレベルは圧倒的
に違います。
もちろん日本の町医者のレベルの方が高い。

欧州では医者が定刻通りに働いて、休むときには休む
システムができ上がっているから、女医も進出できる
ほど楽ですが、利用者が安心できるシステムではあり
ません。

ドイツの医療機関で働く日本人の女医が、日本とドイツ、
どちらで手術を受けたいかと聞かれ、日本と答える記事
がありましたが、入院して担当医を信頼していたら、
手術日には全然違う医者が担当するそうです。
システム通りなのですが、日本人にとったらこれは恐い
ですね。

欧州はバカンスをとる国柄だから、労働の意味合いが
違うのでしょう。
日本人は労働に誇りと責任感を持つから、患者とシステム
なら、患者をとってしまうのではないですか?

欧州に倣ってシステムを変えろ、意地でも外科に女医を
増やせと言ってたら、利用者にとっては好きな町医者を
選べないという最悪のシステムを甘受しなければならない
結果が待っているだけです。
あなたはそれでいいですか?

現場がきついのはあらゆる職種にあると思いますが、
人件費を2倍に増やせるほど病院や会社が儲かって
いれば、解決できるのでしょうがね。
経営って大変ですよ。わしは身をもって知っています。

中村ゆきつぐさん、自分で欧州のシステムを調べて
みましょう。
ついでに欧州の個人主義と、日本人の国民性について、
もっと深く考えてみましょう。

日本の医療に関しては、男女平等なんかより、もっと
重要な問題があるはずです。

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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