朝日新聞言論サイトWEBRONZAに寄稿しました。
相変わらず長すぎて(上)(下)に分かれました。
「自由の戦士」として戦う音楽家たち(上)
https://webronza.asahi.com/politics/articles/2018090700004.html
「自由の戦士」として戦う音楽家たち(下)
https://webronza.asahi.com/politics/articles/2018090700005.html
この夏、ある日本を代表するアーティストに“Think pessimistic Act optimisticだよ”と言われ、その言葉を主題に、バーンスタイン生誕100周年を迎えるアメリカンクラシックシーンを通じて、この悲観的にならざるを得ない社会で楽観的に生きていく、自分ではどうしようもない力(force beyond our control)で自分が規定されてしまうことと闘うヒントについて書きました。
(上)は、アメリカクラシック音楽シーンが体現する「善意」とは何なのか、この象徴たるバーンスタインと、この継承者としてのマイケル・ティルソン・トーマス(MTT)。MTTは同性愛を公表し、パートナーと結婚もしているアメリカンリベラルの象徴でもあり、彼の動向はトランプ政権にあってとても興味深いです。あとは、スターウォーズのジョン・ウィリアムスについても書きました。
(下)の登場人物は、前回も書いた37歳のベネズエラ人スター指揮者、ドゥダメル。
相変わらず情勢不安定なベネズエラの独裁政権に名指しで批判され、彼自身が危ないような状況。
そんな中、この夏ロスのハリウッドボウルにキューバ国立バレエを招聘したところ、今度はトランプ政権のビザ政策により、バレエ団全員のビザが却下されました。キャンセルせざるを得なくなった夏の目玉公演を救ったのは・・・ブエナビスタソシアルクラブ(BVSC)の生ける伝説、87歳の女性歌手オマラ・ポルトゥオンドだった。
キューバ国内でまだ白人・黒人が分離されていた時代、黒人のための社交クラブの名が「BVSC」。これを冠して一世風靡したキューババンドの歌姫は、黒人差別と女性差別と歌で闘い続けてきた存在。
そんなオマラをドゥダメルが起用したことは、「自分ではどうしようもない力」への強烈な叛逆だったのです。
ちなみに、文中に出てくる、今やっている「ブエナビスタ・ソシアルクラブadios」は、小さい劇場でやったたんですが、倉持、隣の人が「こいつ死ぬんじゃね?」ってドン引きするぐらい嗚咽して泣いてしまいました。疲れた、あのときは、ほんとうに。
時代は油断するとすぐに悪くなってしまうんですね、よくなるのは産みの苦しみなのに。
この夏はそんなことを音楽を通じて感じました。
よしりん先生にもあんな風に言っていただいてとても嬉しかったので、もっと興味をもっていただけるよう、ちょっとしたことでも独断と偏見で言いたい放題書いていきたいと思います。