国際法上、独立国に等しく認められている
個別的自衛権と集団的自衛権。
両者を巡って国際紛争の専門家で
東京外国語大学教授の伊勢崎賢治氏が、
一般の“思い込み”を覆すような発言をしておられる。
「逆ですから。(集団的自衛権より)
個別的自衛権の方が怖い。
アフガニスタンで始まった対テロ戦をはじめ、
現に戦争の口実として一番大きいのは『個別的自衛権』ですから。
個別的自衛権で地球の裏側まで行ける。
集団的自衛権は、応戦する前に相談する
相手がいるので一歩置くことができる。
だからより冷静になれる。そうした意味で戦後ドイツは、
自らの判断だけでやってしまう個別的自衛権をお仲間との
集団的自衛権で封じ込める選択をしたのです。
一方で、お仲間の意思に『ノー』と言えるのが
主権国家の集まりである同盟です。
ドイツはアフガニスタンには当初から参戦したが、
開戦の正義に疑惑のあったイラク戦は『ノー』とした。
米朝開戦で北朝鮮の報復をもろに受けるのに、
アメリカの出撃に『ノー』と言えない日本には、
そもそも国防を主体的に考える個別的自衛権さえないのです。
集団的自衛権は、
主体的な個別的自衛権を行使できる主権国家に国際法が許す権利ですから、
日本にはないのです。
これを言ったらおしまいですが、
国防のためにアメリカに『ノー』
と言えるのが世界標準なのです」(『立憲的改憲』)