「ゴー宣道場」でわしが言ったルソーの言葉を紹介
しておく。
わしの『民主主義という病い』(幻冬舎)で、描いた
言葉だから、わしの読者なら、知っているはずだ。
「統治者が市民に向かって『お前の死ぬことが国家に
役立つのだ』というとき、市民は死なねばならぬ。
なぜなら、この条件によってのみ彼は今日まで安全に
生きてきたのであり、また彼の生命はたんに自然の
恵みだけではもはやなく、国家からの条件付きの贈物
なのだから」
ルソーの「社会契約論」の有名な一節である。
近代民主主義が誕生する原動力となったのが、
ルソーの「社会契約論」である。
朝日新聞が民主主義の教師のように重宝する高橋源一郎が、
民主主義とは何かを説明するときに、絶対に伏せてしまう
一節である。
民主主義も、国民国家も、基本は軍隊を持ち、徴兵制を
敷くことから始まったのだ。
井上達夫氏が徴兵制を主張したからと言って、今さら
驚くのが不思議でならない。
フランスにおいても、日本においても、国民国家に
なるときには、軍隊を持ち、徴兵制を敷いた。
それが民主主義の基本であり、自由・平等・同胞愛の
基盤ではないか!
全く当たり前のことを、今では政治家も知らないのだ
から、思わず貧血を起こしそうになる。
福岡で「ゴー宣道場」のゲストに来てくれた憲法学者・
井上武史氏が、わしの著作で一番好きなのが『民主主義
という病い』と言っていたが、もはや学者しか読めない
漫画だったのかもしれない。
政治家ならば、ルソーの「社会契約論」くらいは読んで
いてほしい。