7月24日、(新)希望の党が
結成大会で憲法9条の改正案を発表した。
自民党より「右側」の改憲案の、1つのサンプルか。
9条2項を書き替えて、
戦力不保持と交戦権否認を削除し、
自衛隊の「保持」を明記。
又、3項を追加して、
内閣総理大臣の指揮監督権と、
法律に基づく国会の統制を書き込むという。
安倍氏の加憲提案の“肝”は、9条2項の維持。
それとはハッキリ対立している。
「自民党素案のように、第2項で『戦力(force)』
は保有しないとする一方で、
『実力組織(force)として、
『自衛隊(self-defense forse)』は保持するということは、
結局『戦力』と『実力組織』の違いは何か
という根本的な論議が継続することとなり、
違憲論争の終息につながりません」
(同党政策調査会長、井上一徳氏の解説)
との問題意識に基づく。
自衛隊を「戦力」と位置付ける為の改正案のようだ。
だが、
自衛隊を縛る“戦力未満の非軍隊”
という制約が解除されるのであれば、
改めて「一人前の軍隊」として、
運用・装備・訓練等がトータルに見直される事になろう。
その自覚はあるのだろうか。
もしあれば、憲法上、
解禁された「戦力」を、いかに規律して行くか、
憲法“それ自体”に遺漏なく(カテゴリカルに)
書き込む必要がある、という課題に気付くはずだ。
にも拘らず、それへの配慮は殆ど見られない。
そのような提案は、残念ながらそのまま賛成できない。
これまで事実上、制約されて来た個別的自衛権の
“十全な”行使を可能にする為には、9条2項の
「戦力不保持」規定の改正は避けられない。
しかし一方で、自衛権を適切に行使するには、
それを“厳格に”規律する規定をカテゴリカルに
追加しなければならない。
その双方を満たすのは立憲的改憲だけだ。