憲法学者で学習院大学大学院教授の青井未帆氏。
立憲的改憲への批判を展開されている。
その主旨は以下の通り。
「新しい9条を作れば政治がそれに従うというものではありません。
憲法の条文を新しくしたところで…
成熟した政治がなければ、意味がない。
そういう政治を作ることが、まず私たちが解決ん目指さなければならない
問題ではないでしょうか」
(「『新9条論ーリベラル改憲論』の問題点」)と。
いかにも筋が悪い立論ではあるまいか。
そもそも劣悪な政治に歯止めをかける為の憲法ではないのか。
一体、何の為の憲法か。
「成熟した政治」さえあれば憲法は殆ど無用、
という結論にも繋がりかねない論法だ。
憲法学者としてかかる発言は自己否定に近い。
しかも、「(成熟した)政治を作ること」こそ優先課題と強調しながら、
それをどうやって実現していくのか、その手順や見通しは全く語られない。
余りにも無責任だ。
自衛隊「明記」加憲への危機意識がまるで感じられない。
更に、青井氏は軽々しく「新しい9条を作れば…」
と言うが、それは国民投票の結果として実現するものだ。
その“重み”を想像できているのだろうか。
氏は一方で、
「わが国における立憲主義や平和主義を真剣に論じている点など、
傾聴に値する議論が多い…
憲法に書き込むことによって実力を統制することは、
正統な立憲主義的試みであり、むしろ正道ともいえます」
と学者らしく、公平かつ理性的に評価しておられる。
その上で急に路線変更して、憲法自体の存在意義を軽んじ、
立憲主義を侮るような議論を展開されている。
不思議だ。
「護憲」の“呪縛”はそこまで深いのか。