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泉美木蘭
2018.6.16 19:21日々の出来事

時代と街並みとゲラチェック…

ずっと気になってたお腹がとうとうこらえきれないくらい痛くなって、もしかして来年ぐらいには死ぬのかな、好きなことしておいたほうがいいのかなとか気分が暗かったんだけど、検査結果はなんてことなくて、治療したら数日でたちまち良くなった。
病院ってすてき。

朝から二丁目本のゲラチェック。
もくじを見たら、よくこれだけ取材したなと自分を褒めたくなった。
いまの新宿二丁目は、観光に来た人のためのバーのような店も多いし、メディアに出る様子からも「新宿二丁目=ゲイの街」というイメージがすごく強いと思うけど、赤線廃止前の二丁目から街を見てきた人達に話を聞くと、もともとはそうじゃなかったんだよね。

もちろんゲイの店が多いというベースはあったけど、ゲイバーは数件しかなくて、「LGBT」という、人を規定して認識させる言葉もなかった。もっとごった煮のように、いろんな人が自由に往来する、猥雑なパワーのみなぎっていた場所だった、と。
時代の流れのなかで、「ここは、そういう街」という収束が起きていったのかもしれないね。今もそこそこおもしろい街だけど、昔のほうがおもしろかった、なんて言葉が何度も出た。二丁目に限らず、いろんな場所で同じようなことが起きているのかもしれない。
収束。規定。

うちの店は「そういう街」に収まっていく前からあったから、ちょっと変わった場所になったのかも。

ゲラのメモ書きに、過日撮影したレコードジャケットにクレジットのキャプションをつけてくれとあって、撮るだけ撮ってなにもメモせず棚にもどしていた自分に愕然とする。南米から直接買ってきたようなものが多くて、ネット検索してもクレジットがちゃんと出てこないんだよ…。

レコードと言えば、もう何年前だか忘れたけど、まだあんまりブラジル音楽に詳しくない頃、店でかかって「超かっこいい!」と思って翌日すぐ買いに行ったのがこれだった。


JORGE BEN “AFRICA BRASIL”(1976)

今聞いてもかっこいいんだから、おばあちゃんになっても聞いてる気がする。

それから展覧会の導入文を書いてくれと頼まれて、8人の写真家の作品をじーっと見て、力いっぱい書いた。こういう文章だけ書いて生計が成り立つんだったらどんなに幸せでしょうか。あり得ないけど。
こんな感じで今夜も眠くなるまで仕事。明日も目が覚めたら仕事。

泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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