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高森明勅
2018.6.8 07:00政治

連携の幅

立憲民主党代表の枝野幸男氏が、
中島岳志氏との対談で、次のように発言しておられた。
 
「僕自身は
『個別的自衛権を認めた上で、
集団的自衛権はやるべきではない』
という論をとっていますが、
『立憲主義を護った上なら、集団的自衛権はやってもいい』
と考える人まで巻き込んで、連携しなければいけません」
と。
 
これは興味深い発言だ。
 
わが国が、(国際法上、各国に認められている)
集団的自衛権に踏み込む最大の障害は、何か。
 
憲法によって、個別的自衛権すら
(戦力不保持という形で)制約されている、
という事実に他ならない。
 
個別的自衛権すら十全に行使できない以上、
(アメリカ側がそれにメリットがあると判断している
うちは)対米依存=従属が構造的に必然化される。
 
にも拘らず、そのまま集団的自衛権を“解禁”すれば、
日本人が望まない「アメリカの戦争」に駆り出される
危険性が、飛躍的に高まる(だから実は既にそうなって
いる!)。
 
ならば憲法を改正して、個別的自衛権をフルスペックで
行使できるようにすれば、“理論上”は集団的自衛権を
ことさら封印する根拠はなくなる。
 
だが、日本が“リアル”に「独立国」になる為には、
日米間のこれまでの様々な取り決めの見直し
(属国から普通の同盟国へ)や、国内の法令の
再整備、軍事的な装備・訓練の追加などに、
当然ながら一定の時間が必要になる。
 
だから、集団的自衛権を認めるタイミングなどについては、
意見の対立があり得る。
 
だがその対立は、テクニカルな次元の二義的な
ものでしかない。
 
枝野氏は、恐らくその辺りも理解しておられるのだろう。
 
集団的自衛権への賛否より、
「立憲主義」に対する姿勢を重視されているようだ。
高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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