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泉美木蘭
2017.12.14 01:00

自民党本部が大量購入・配布中のインチキ本3

自民党本部が大量購入・配布中のインチキ本検証シリーズ、つづき。 

<これまで紹介したネトウヨ式トンデモ陰謀論>
・安倍首相、「人権」あるから質問はぐらかしてOK!?
・森友学園問題は「朝日新聞のねつ造、仕掛け」!?
・森友に関係していたら「国会議員やめる」は安倍首相の美学!?



◆総理大臣夫人は「私人」?
昭恵夫人の言動を追及された政府は、
「総理大臣夫人は、私人」という意味不明な理屈を閣議決定した。
このトンチンカンな閣議決定に、小川氏は優しく寄り添う。

総理大臣夫人は、公的な地位も職務権限もないのだから、公人ではない。しかし、純然たる私人でもない。国内での賓客をもてなしでも、首相の海外訪問への同行でも、公的な立場で行う。来賓で招かれれば、総理大臣夫人として紹介される。総理の代理のニュアンスを帯びるが、大概の場合、ファジーな存在であって、公人性を帯びた私人というのが穏当な位置づけであろう。


小川氏自身が、首相夫人がどれほど公人なのかを説明しているが、
昭恵夫人は、「完全なる公人」である。
まず「公人」には二つの意味があると思っている。
 
(1)公務員など、公職につく人間。
(2)社会的な立場におかれている状態の個人。


(1)昭恵夫人には、外務省と経産省から専属の政府職員が5人も配属
されており、各地での遊説に随行している
辞令が出て就任している
けではないが、「安倍内閣総理大臣夫人」という、夫人のなかでも
最強
に近い公的肩書きを掲げ、各地に税金から給料を支払われている
人間を
連れ歩いておいて、「私人」というのは通用しない。
クリアにしたいなら、職員を全員、民間から私的に雇い、すべて自腹で
給料を支払わなければならない。

閣議決定は、あまりにも幼稚な屁理屈でしかない。


(2)おおやけの場に出て、なんらかの発言、発信、発表を行い、
その名前や姿を多数の人に認識されていれば、その人は「公人」である
先に述べた(1)の意味合いでの「公人」は対義語が「私人」になるが、
この意味合いでは、対義語は「一般人」だろう。
芸能人が結婚発表して、「お相手は一般人のため非公表」ということが
よくある。公開される人と伏せられる人、その差を、誰しも自然と理解
しているはずだ。

昭恵のように、「内閣総理大臣夫人の安倍昭恵です」と言って、各地で、
講演したり、対談したり、出版したり、海外の政府要職らとの食事会に
招かれたりしていたら、「世界的な公人」である。

さんざん公的な場所で活動しておいて、都合が悪いときだけ
「安倍首相のお相手は、一般人のため非公表」
など言われて、誰が納得するのか?


しかも小川氏は、「昭恵私人論」の直後に、こんなことを綴っている。

首相夫人の肩書が付けば、普通なら巨大な防護壁の中に隔離され、権力と権威によって雲上人となる。名刺を通じることさえ難しく、面会に至っては極度に吟味される。…(中略)…天真爛漫な笑顔や誰にも垣根を設けない対人態度から、昭恵は天衣無縫で、あまり物を深く考えない人という印象でみられている。


首相夫人の肩書で、権力と権威によって“雲上人”となる、て! 
うんじょーびと! 公人を超えて、天に昇り、雲の上へ行ってしまったー!

首相夫人は、並みの公人を超越した、破格の公人、「天下の公人」だと
小川氏みずから渾身の文言で説明してしまってるのである。
あんたさっき首相夫人=私人論ぶったばかりじゃないの…。
信じたいことだけを異常に信じて、信じたくないことをねじ曲げていく。
そして
陰謀論にはまると、人の脳内はこんな風に分裂するのかもしれない。
(つづく)
泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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