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泉美木蘭
2017.12.1 07:36

メディアの信頼度下げて憲法改正発議

ツイッター上で「朝日新聞、死ね」と発言してネット上で
話題になったネトウヨ、日本維新の会・足立康史議員が、
憲法審査会で、安全保障関連法、森友・加計学園問題を

「マスメディアの偏向ぶり、中でも朝日新聞のねつ造、誤報
偏向報道のオンパレード」

と述べ、改憲の議論を急ぎ、国民投票に向かわせるために、

「マスメディアを正すか、マスメディアへの信頼度を
欧米並みに引き下げるのかのいずれかに取り組むことこそ、
憲法改正国民投票に向けて、最も重要な環境整備ではないか
と考えます」

と発言した。


11月30日の衆議院・憲法審査会
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=47625&media_type=fp


足立議員いわく、英国キャメロン前首相と懇談した際に、
マスメディアに対する不満はないのかと質問したところ
「政治家がマスメディアに対して文句を言うのは、
農家が天気に文句を言うようなものだ」
と返答があったのだそうだ。

ごく普通に解釈すれば、
「政治家がマスメディアに文句なんか言うのはくだらない、
能力無しの証拠だ」
という意味になるし、質問者の足立議員をバカにする含みのある
言葉にも感じる
が、足立議員は

「注意が必要なのは、このキャメロン前首相の指摘は、英国人が
マスメディアの情報をコロコロ変わるお天気程度にしか信用して
いないということの裏返しでもあるということです」

とハイパーポジティブに脳内変換。
「日本では国民の7割がマスメディアを信頼しているのに対し、
英国ではわずか14%にとどまるのだそう」
とし、だから、日本のメディアの信頼度を英国並みに下げて、
改憲の議論をスピーディーに進め、さっさと発議してしまえ、
と言ったわけだ。

ネトウヨってどこまでアホなのか。
メディアも扇動やデマ報道をやることはあるし、
政府の広報紙に成り下がる事例も最近見せられたばかりだから、
たしかに危険な一面もあるが、
安保法制、森友・加計問題、そして共謀罪の議論に関しては、

「記憶はありません」
「記録は廃棄しました」
「記憶に基づいて答弁しましたが、その記憶が間違っていたの
ではないかと推測しております。嘘はついておりません」
「パソコン内のデータは自動的に削除され二度と復元できない
仕組みになってございます」
「私の頭脳が対応できません」
「事前に通告があればもっと立派な答弁ができますのに」
…etc

国会での大臣、閣僚、官僚らの不明瞭、ごまかし、ウソ、時間稼ぎの
不誠実すぎる答弁の数々が、不信感を招いたのだ。
メディアが不信感を作ったんじゃない!
隠蔽し、時間を引き延ばし、数の力だけで押し通す政権与党の姿が、
次から次へと不信感を生み出しているんですよ!

国民から不都合な事実を隠蔽して、議論なしに安倍改憲案を通したい
という愚劣な意図だけ!
憲法改正の国民投票のために、都合の悪い報道をするメディアの
信頼度を下げろ、それが環境整備だと国会で発言するような人間に
国会議員の資格があるか?

「朝日新聞」の名前があがると議場からヒソヒソ笑い声があがる様子
が聞こえてきた。隣に座る議員も、にやっと笑っている。
現場にいた野党議員によると「失笑」だったそうだが、同じ陰謀論を
安倍首相も主張している。
「メディアの信頼度を下げて憲法改正発議」の足立発言は、現政権の
主要路線だろう。

泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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