安倍首相は、獣医学部新設に関して、
「速やかに全国展開を目指したい。地域に関係なく二校でも
三校でも、意欲があれば新設を認める」
などと言い出した。
「一校に限定して特区を認めた中途半端な妥協が、結果として
国民的な疑念を招く一因となった」
と。
ふざけるなって感じだな。
「広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り」
とわざわざ巧妙な文言を付け加えて規制強化してまで、
京都産業大学を落としたのは一体なんだったのか、という話だ。
わざわざ作ったこの文言を、また撤回するのか?
じゃあなんだ、加計学園が獣医学部を新設する愛媛県内に新たに
ライバルが乗り込んできてもいいのか?
時代の流れによって外したほうがよい規制もたくさんあるが、
そもそも意味があって出来上がった規制だ。
なんでもいいから壊せばいいというものじゃない。
ただ「壊せ壊せ体制は悪だ! 屈しない!」なんて体制に反発
する姿勢を見せてりゃ支持されると思っているのか?
ヘルメットかぶって石でも投げてる気分なのか?
安倍首相は日本獣医師会の強い要望を受けて一校に限ったのだと
言っているが、日本獣医師会はそもそも加計学園一校にも強力に
反対していた立場だろう。
首相が大臣ら主要閣僚にも相談せずに勝手に推し進めているのを
かなり早い段階から察知して、危険視もしていた。
獣医学部が必要なら、誰もがそうわかるようなデータを出して、
説明しなければならない。
「私は疑われるようなことはしていない」という言葉ではなく、
この人口減の時代に、ぼんぼん獣医学部を開設して、
質の高い獣医教育と研究レベルを維持することができる理由を、
歯科医のように患者の取り合いになって廃業に追い込まれる者が
次々と出るような事態には決してならないということを、
理路整然と説明して国民を納得させなければならない。
「動物のお医者さん」という楽しげな印象があるが、実際は、
動物からヒトへの感染症、あらたな病原体の発生を監視するなど
人間の命や社会活動とも密接にかかわる職業だろう。
アダムスミスの「神の見えざる手」なんて単語を使って市場原理
で進めていい分野じゃないと思う。
前川氏の正々堂々として説得力のある記者会見と、都議選の対策
として、はぐらかしにきたんだろうけど、
安倍首相は、あまりにも自己都合に前例をちゃぶ台返ししすぎだ。