明治神宮前へ出かけてたんだけど、表参道の高級ブランド店は
静かだったなあ。もっと遅い時間になればにぎわうのかな?
一方で、原宿のファストファッション店は、すごいね。
ちょうどセールの時期なのもあるけど、「H&M」は人だかり。
「H&M」は、スウェーデン発の低価格ファストファッションチェーンで、
日本でいう「ユニクロ」みたいなものなんだけど、
全世界4000店舗展開、2015年の売上は約3兆円というから凄まじい。
先日の小林先生との生放送で、
「最近の富裕層にはお洒落して、文化を守るという気概がない。
Tシャツと、ハーフパンツと、サンダルで、六本木ヒルズをふらふら
歩いている」
「新自由主義は、文化を縮小させ、平坦化、単一化させてしまう」
という話題になったとき、最近は、ファッションブランドのデザイナーが、
すぐ「ユニクロ」とコラボして、自分のブランドの廉価版をユニクロで
販売してしまうという話を紹介したんだけど、
「H&M」は、まさにそのコラボの先駆け的な存在だ。
カール・ラガーフェルド(シャネル、フェンディのデザイナー)に
ステラ・マッカートニー、コムデギャルソン、ソニア・リキエル、
ランバン、マルタン・マルジェラ、マルニ、アレキサンダーワン etc
みんな超一流のブランドなんだけど、高級服がなかなか売れない時代、
生き残るために、新たな販路の確保や自社名の広告をめざして、
H&Mの広告戦略に乗っかり、名前を提供しちゃうようなんだよね。
チープになって大量生産されても成功するケースもあるけれど、
散々な評価になってしまうデザイナーもいる。
高品質で創造性のある服を評価してきたファンからは
「あんな安っぽいデザインに走って、価値を売り飛ばした」
とがっかりされて敬遠されてしまう場合もあるし、
「あのデザイナーの服なら、粗悪品でもまあ構わないわ」
と考える人が増えてしまったりして、当のデザイナーの店から
ますます服が売れなくなるという弊害にも結び付いてしまう。
新自由主義の法則のもとで、大資本のもとに、創造性も独自性も
価値も才能も飲み込まれて溶けていってしまうのだ。
「H&M」で服を買っている人は大勢いると思うし、私も普段着ている
には良いと思うから、悪口はすごく言いづらいんだけど・・・
それでもやはり、縫製と糸の始末が粗雑だなあという印象がある。
利益率が6割ぐらいあるらしいから、普通の服作りの行程にくらべて、
地球レベルでの相当なコスト削減を行っているんだろう。
日本には、せっかく高い品質を生み出していく国民性があるのに、
こういった粗雑なグローバル・チープファッションにすべてが溶けて
消えてゆくと、今後の世代には、「きちんとした品質のもの」すら
一切理解できなくなってしまうのでは?
創造性の死にもつながるのではないかと、不安だ。