昨夜、雨のなか荷物を抱えて大変だったので、たまらず、
滅多に乗らないタクシーを拾った。
すると、運転手さんが、サービストークで、
「EU、離脱ですねえ」
と。そうですねえ、と相槌だけ打ったら、
「本当にバカな人間たちですよねえ。
人類はみんなもともと一組の祖先から生まれた兄弟なんですよ。
やっと人類はね、あのEUを作り出して、人種をまぜこぜにして、
どんどん混血させて、みんな一緒の、みんなひとつの兄弟に
進化していくところだったのに」
ほええ!?
「それがまた、枠を作って、白人は白人だけの枠、黒人は黒人だけの枠、
イスラムは中東へ、メキシコ人はメキシコへ、っていう時代に逆戻りですよ。
本当に残念だ。イギリス人はまるでトランプですよ。
とんでもない差別主義者ばかり。本当にバカだと思いますよ」
ふええ!?
あっけにとられて「はー」「そーですかー」と相槌を打っていたら、
どうも、この人、
EU=人種の垣根をなくし地球市民を目指す人類最先端=夢の最高峰
だと思ってるみたいだった。
間違った方向の最高峰だってあろうよ。
投票率72.2%。ちょっと考えりゃ、差別主義者の台頭などではなく、
現実のイギリス国民が、どれだけ生活のなかでうんざりしてきて、
この問題に関心が高かったかが感じ取れるとおもうんだけど。
街角インタビューを受けていたイギリス婦人が
「外国人が多すぎて、病院で何時間も待たされ、私たちは治療を
受けられないのよ。おかしいわよ。もううんざりです!」
と激怒するのを見て、そりゃイヤだよなあ、うんざりだよな、とうなづいたけど、
EU信仰、グローバリズム信仰の人は、こういう生活者のまともな怒りの声を、
「地球みな兄弟だぞ、バカなレイシストめ」と一蹴するのだろうか。
一人間の分際で、そんなに人種をまぜこぜに混血させたいっていう考え方も、
なんだかよくわからん。
日本にお住まいになって、周りが日本人ばかりで、自分も日本人で、
日本人相手にサービスする仕事をして、
それがもう苦痛なんですかね??
普通の生活のなかから生まれる、実感のある声を聞けなくて、
「兄弟」なんて白々しいこと言わないでほしいと思っちゃうよ。