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泉美木蘭
2016.2.28 07:25

張り紙「外国人観光客お断り」のいきさつ。

去年、仕事で中国へ行ったとき、帰りの春秋航空の機内販売で、
ジョークで自撮り棒を買った。
正月、話のネタになるだろうと、実家に持って帰ったら、すかさず
「そんな中国人みたいなこと、みっともないからやめてよ!」
と罵られた私です。
『外国人観光客は目障りだ』が炎上と聞き、首をかしげております。


「マンションの不動産価値が下がるからベランダに布団を干すな」
などなど
住民の協定をつくるほど美観にうるさい日本人が、
ジャージ姿で銀座の並木通りを練り歩き、高級店に押し掛けて、
床に荷物をどさどさ降ろして通路を阻み、ギャーギャー言いながら
爆買いしている外国人観光客の姿を見て、

「まあ、外国人って素敵。大好き。もっと大勢でずっと来てほしい。
母国はさぞ素晴らしいお国柄なのね」

と思っているんだろうか・・・?

昨年、ひとりで飲食店をやっている店主から、
『外国人観光客お断り』という張り紙を作りたいので、中国語と英語に
翻訳してくれないか? と頼まれたことがある。
私は英語力も中国語力もなく、翻訳ツールに頼るレベルなので、
もっと実用的に話せる友人を紹介したんだけど。

店主によると、8席しかない小さな料理屋に、外国人観光客が5、6人で
やってきて席を陣取り、1人前の料理を一皿だけ注文して全員で分けたり、
ビール一杯のみで2時間も居座ったり。
おまけに会計時にディスカウントを要求され、言葉はあまり伝わらないし、
早く帰ってもらいたいしで、言われるまま値引いてしまうこともあるという。

わかるなあ…。
ディスカウントについては、飲み屋でも似たようなことがある。
店頭に値段をきっちり表記しておいても、
入ってくるなり「こっちの言い値で飲ませろ」と、強気で迫ってくる外国人は
ものすごく多い。
強い店員や、語学力のある店員は「NO!」と店側のルールを切り返せる
けれど、それができず、迫られることがストレスに感じて、押し負けてしまう
人もたくさんいる。

また、前述の店は、店主と会話を楽しみながら、ほどよく楽しく食べるという
雰囲気があるのだが、外国人観光客がドヤドヤと好き放題に騒いでこれが
崩れてしまい、
日本人の常連客が嫌がり、店から離れてしまった…とも。
大規模チェーン店ならばまだしも、小さな個人店でこれをやられたら、
おしまいだ。

このままでは閉店に追い込まれてしまうというレベルまで来た店主は、
『外国人観光客お断り』を宣言することに決めたという。
繁華街でもあり、面と向かって口で追い払うと、酔った勢いで喧嘩越しに
なる客もいるため、店の扉に張り紙することを選んだそうだ。
私は、それでいいと思った。

店主はこうも言っていた。

「常連客だけでなく、新規の客もどんどん入れていきたいと思って、
ネットの飲食店情報サイトに店の情報を載せてみたんだけどね、
それを見て来る日本人の新規客も、また、困った人が多いんだよ・・・」


えっ、日本人にも? どんな困った人が?
せっかくだから、この続きは、火曜日のライジングで紹介しようと思います。
泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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