ゴー宣DOJO

BLOGブログ
泉美木蘭
2016.2.2 15:10

ココ・シャネルという女性の生き方

ファッションデザイナー、ココ・シャネルの人生を描いた本を読んだ。
シャネルの洋服なんてわたしには着る機会も資格もないし、
ココ・シャネルと言えば、ピカソ、ジャン・コクトー、ストラヴィンスキーなど、
とにかく世界の才能ある男たちと浮名を流した一流の女性、
というイメージのほかはあまり知らなかった。
でも、知ると
あまりにかっこよくて、憧れずにいられない女性だな。

小さいころ母親が死んで、父親に捨てられ、孤児院と修道院で針子を
しながら育ったシャネルは、なんとか自立しようとキャバレーの踊り子に。
当時は、女性が稼ぐには、踊り子か歌手ぐらいしか道がなかった。
やがて、この店の常連だった大金持ちに見初められ、愛人のひとりとなり、
その彼に出資してもらって開いた帽子店が、『シャネル』の創業。

しかし、シャネルを囲っていた大金持ちは、店が軌道に乗って、
シャネルが「このチャンスに
立地条件の良い場所で展開したい」と言っても、
「趣味の範囲でいいじゃないか。女が働くことは応援できない」と否定的・・・。

いくら生活の安定を与えてくれても、自分の才能に水を差す男とは過ごせない!
こう考えたシャネルは、
大金持ちと別れて、彼女の才能の虜になっていた
青年将校カペル
から出資を得て、店を大きくしていく。

・・・で、好感を持つのが、ここからガンガン才能を開花させたシャネルが、
最初の愛人にも、青年将校カペルにも、数年で出資金を全額返済したことだ。
ある時、カペルが「僕のことを本当に愛してる?」と尋ねると、
シャネルはこんな風に言ったそうだ。

「それは、私があなたからの援助を必要としなくなった時にわかるわ」

こんなセリフ、すっと言ってのけられる女の人、なかなかいないよ?
「もちろん愛してるわ♪」なんて言って、愛と欲をごちゃ混ぜにして、
相手も自分も騙して、甘い空間で楽に生きる方法もあっただろうに。

シャネルが出資金を完済したとき、カペルはこうつぶやいたという。

「おもちゃを与えたつもりだったのに、自由を与えてしまったようだね」


この青年将校カペルは独身だったけれど、体裁や、一族への見栄を
重んじて、孤児院育ちのシャネルではなく、上流階級の娘と結婚した。
結婚後も、シャネルとは愛人としてつながっていたが、あるとき、
カペルが自動車事故で急逝。
葬儀にも埋葬にも出られなかったシャネルは、ひとり事故現場を訪れ、
何時間も号泣していたそうだ。本当に愛していたんだね…。

シャネルと言えば、マリリン・モンローで有名になった香水「No.5」
商品としての代表だけど、ほかにも、
女性用の小さなサイズの帽子、ツイード素材、ジャージー素材、
セーラー服、プリーツスカート、モノトーンカラーのワンピース
なども、
シャネルが編み出したスタイルだ。
ほかにも、当時は、小さくてただの飾りでしかなかったハンドバッグに
革のベルトをつけ、実用的な
ショルダーバッグ考え出す。
働く女性のために、口紅を、持ち歩けるリップスティック型にしたのも、
歩きづらいピンヒールよりも、かかとの低い靴を提唱したのもシャネル。
つまり、いま世界に存在している多くのファッションスタイルの生みの親は、
ココ・シャネルなのだ。

私の勝手な見方では、シャネルのスーツって、着る女性の持つ品位を
そのまま押し出す
ような怖いところがある。
服に釣り合う品位を身に着けた人が着ると、活動的
かつ、エレガンスで、
ますます素敵に見えるんだけど、
そうでない人が着ると、とことん下衆な姿を前面に出してしまって、
まったく下品で見てられない・・・
ほら、浪速のエリカ様・上西小百合議員なんか、よくシャネルのスーツを
着てるけど、
どーも、ね・・・。

どうしてこうも下品な人をとことん下品に見せるのか・・・?
不思議なデザインだと思っていたけど、それは、創業者ココ・シャネルの
精神性がそのまま服に現れている
からではないか。そう思った。
どう生きるか、そのために選んで着る服。

ココ・シャネルの紹介、チャンスがあれば『淑女我報』で話したいなあ。

泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

次回の開催予定

INFORMATIONお知らせ